問題は検査数値ではなく体調が悪くなること

信頼する主治医から「このまま放っておくと心不全になる」と宣告を受けて、さすがにこれはリスクが高いと判断した私は、仕方なく血圧を下げる薬を飲むことにしたのです。

和田秀樹『60歳からの「手抜き」の極意』(河出書房新社)
和田秀樹『60歳からの「手抜き」の極意』(河出書房新社)

ところが、服薬で正常値である140mmHgまで下げると頭が働かず仕事にもなりません。とはいえ、180mmHgになると死亡率が高まるというデータは信頼性が高いと思っていたので、自分の体に負担の少ない170mmHgを目安にしています。

検査数値は数値そのものが問題なのではなく、そのまま放っておくと体調が悪くなることが問題なのです。

数年前に私は血糖値も600mg/dlほどで、確かに喉が渇いて仕方がない、いつも体が若干だるいという自覚がありました。

そこでスクワットなどの運動を日課にしたところ300mg/dlにまで低下し、確実に体調がよくなったのです。以来、自己判断で(通常医師は賛成してくれません)300mg/dlを目安にしてそれを超えたら服薬治療を考えようという方針にしています。

和田 秀樹(わだ・ひでき)
精神科医

1960年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、アメリカ・カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て、現在、和田秀樹こころと体のクリニック院長。国際医療福祉大学教授(医療福祉学研究科臨床心理学専攻)。一橋大学経済学部非常勤講師(医療経済学)。川崎幸病院精神科顧問。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたって高齢者医療の現場に携わっている。2022年総合ベストセラーに輝いた『80歳の壁』(幻冬舎新書)をはじめ、『70歳が老化の分かれ道』(詩想社新書)、『老いの品格』(PHP新書)、『老後は要領』(幻冬舎)、『不安に負けない気持ちの整理術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『どうせ死ぬんだから 好きなことだけやって寿命を使いきる』(SBクリエイティブ)、『60歳を過ぎたらやめるが勝ち 年をとるほどに幸せになる「しなくていい」暮らし』(主婦と生活社)など著書多数。