節約とは要らない金を出さないこと

節約とはなにかといえば、結局のところ、「要らない金を出さない」ということに尽きます。つまりは、「不要の出費を省く」というのが節約の一丁目一番地ですね。そうして、同時に、そこが最終目的地だと思うのです。だから、まず「自分の生活の中で不必要なことに金を使っていないか?」という反省から始まるのが第一歩です。

すでに縷々るる述べたように、PayPayで支払うとこれこれのポイントが貯まりますよ、というような宣伝に踊らされて、ろくに考えることなく夢中になって不要不急のお金を使ってしまう、なんていうのは非常に危ないことだと思います。やはり、一人一人があくまでも冷静に、しかも自分の頭で考えないといけません。

たとえば、今、年間2%のインフレ誘導といった話が取り上げられていますが、それはとりもなおさずお金の価値を減らしていくことにつながっていく。すなわち、貨幣価値の逓減ていげんとなり、「銀行口座に資産を持っていただけではどんどん実質的に目減りしていくことになるから、ある程度投資をしましょう」ということになりましょうね。

下降の一途をたどるチャートと日本列島
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30年間目減りしなかった現金

だからその分をカバーする賃上げがなくては、貧しくなる一方です。だけれど事実として、少なくともこの30年間くらい、日本はずっとデフレでしたから、私はずっと現金で持っていたけれど、ちっとも目減りはしませんでした。

今度、政府がこれだけ笛を吹いたから、果たしてインフレ傾向に振れていくかなと思うけれど、さあそれはどうでしょうか、政府のいうようになるかどうかは、どうもあてにならないと思うのです。

なぜかというと、日本はこれだけどんどん人口が減ってしまい、いわゆる人的資源がやせ細りつつあって、大学でも世界順位を次第に下げてしまっている、という現実がありますから、その結果として、世界のビジネスシーンからは次第に後れを取りつつあります。GDPの順位も下っていくわけです。

こういう現状がある以上、日本がかつての旺盛なる経済成長のようなことを実現できる可能性はどうしたって低いといわなくてはなりません。といって、人口を俄かに増やす妙策もないし、そこを補うためにいたずらに外国から移民など入れれば、こんどは日本社会の穏やかな道徳性とか、安全な暮らしというところに亀裂が入ってくる。どうやっても、かつて私ども団塊の世代が額に汗して、おおいに奮励努力した結果として、世界に躍進を遂げたようなことの再来は、望むほうが無理というものです。