(PIXTA=写真)

帰国後、外資系企業を経て35歳で独立・起業。最初の2年間はほぼ無報酬だったが、大手ITから仕事を請け負ううちに基礎体力をつけ、3年目から年収は2000万円近くに急上昇、ここ数年で現在の水準に達したという。

手持ちの資産はほとんどがキャッシュで約5億円。しかし、「留学の一件があるので、金銭に関しては今も嫁から信用されていません。嫁は外資系で経理の経験があり、会社の経理と家計の管理を兼ねてますから、僕は欲しいものが買えない(苦笑)」

資産運用はあまり得意ではない。日本にいた頃はファンドや金・プラチナを買ったり、株にも手を出したが、あまりうまくいかなかった。今はもっぱら外貨預金とFXだが、怖くてレバレッジをかけたことはない。

「資金を事業と運用どちらに投資するかといわれれば、事業のほう。失敗したって、どこに行っても通用するノウハウがありますから」

シンクタンクの船井総合研究所で「富裕層ビジネス研究会」を主宰、多くの富裕層と交流のある小林昇太郎氏は、「自分で家計簿をつけている富裕層は、まずいません」という。

日本の富裕層の多くは、資産管理を税理士やプライベートバンク(PB)に任せ、米欧の富裕層は、一族のために専門家を雇って組成するファミリーオフィスで資産を管理することが多い。

「全然お金が消えないんですよ、ほんとに。使おうと思えばいくらでも使えるんですが」――そういって苦笑する楊さん(仮名、52歳)は、中国・上海市出身。日中に拠点を持つ年商20億円弱の貿易商社を経営している。長身痩躯、日本語はネイティブ同然だ。

「毎年、4000万円、5000万円と利益がポコポコ出てくるので困っています。どんなに節税しても、焼け石に水ですよ」