「やらなきゃ」という義務感
タイムマネジメントへの先入観をとらえ直すことをお伝えしたのは、実は私自身が、「時間管理」や「タイムマネジメント」という言葉に苦しんだ経験があるからです。
私は「時間術」の本を読むのが好きで、色々な方の時間の使い方のコツを学んでは、自分にも取り入れていました。ところが、初めはモチベーションが上がり、真似して取り組んでみるものの、次第に「やりたい」という気持ちから「やらなきゃ」という気持ちや義務感に変わっていくのを感じるのです。
たとえば、「朝4時に起きてウォーキングがおすすめ」と知れば、充実した時間の使い方に思えて、私も真似をしてみました。確かに、早起きして運動するのは気持ちがいいし、健康にもよいのもわかります。
しかし、気持ちよさと同時に、まだ暗いうちに外に出る「怖さ」も感じたのです。
怖さを感じていたら、心地よくはないですし、それを続けたいとは思えませんでした。
心地よい時間のペースは人それぞれ
誰かにとっては優先度が高いことでも、別の人にとってもそうであるとは限りません。「仕事をする時間」「家族と過ごす時間」「一人で過ごす時間」「運動をする時間」「勉強をする時間」「テレビを観る時間」など、優先度や何にどのくらい時間を割きたいかは、十人十色です。
だからこそ、まずは自分にとっての心地よい時間の使い方を知ることが重要なのです。自分の心地よさを知っているからこそ、それを相手とも共有できますし、相手の心地よさも尊重できます。逆に、自分が心地よさを無視してガマンをしていたら、相手にもガマンを強いるようになります。想像するだけでも息苦しいですよね。
少し話が大きくなりますが、自分の心地よさも周りの心地よさも、お互いに尊重できたら、さらに優しい社会になると私は思っています。