必要なのは自分が欲しいものを知ること

この話からも察しがつくと思いますが、「やりがいのある仕事を与えてくれる会社の見分け方」などというのは存在せず、それを知りたいというのは、かなり見当違いなことと言わざるを得ないでしょう。

たまたま与えられた仕事にやりがいを感じることはあるかもしれませんが、それは偶然に運がよかったと捉えるべきことです。

誰も見ず知らずのあなたに、「やりがいのある仕事」を与えてくれるはずがありません。

それはあなたに嫌がらせをしているのではなく、あなたが何をしたいのか、何を目指しているのかわからないのに、あなたが満足する仕事など与えようがないからです。

誰かが何かを与えてくれるのを期待するよりも、自分が何をほしいと思っているのかを知ることが必要でしょう。

何がやりがいかわからなければ、現在のように「十分に充実感があるかというと、そうでもなく、特別におもしろいわけではない業務」が自分の仕事になっていても不思議はありません。

そのことに気づけば、現在の仕事について、なぜ今のように感じるのか理解でき、自分と向き合って考えることができるようになると思います。

仕事に熱心な人でないと評価されるのは、不本意なはずです。ぜひ仕事から充実感を得られるときがくるよう、ご健闘をお祈りします。

松崎 久純(まつざき・ひさずみ)
サイドマン経営・代表

もともとグローバル人材育成を専門とする経営コンサルタントだが、近年は会社組織などに存在する「ハラスメントの行為者」のカウンセラーとしての業務が増加中。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科では、非常勤講師としてコミュニケーションに関連した科目を受け持っている。著書に『好きになられる能力 ライカビリティ』(光文社)『英語で学ぶトヨタ生産方式』(研究社)『英語で仕事をしたい人の必修14講』(慶應義塾大学出版会)など多数。