料理の撮影は許可を得るべきか?

海外に関しては、そもそも撮影の許可を聞く必要がありません。聞いてもいいですが、「どうして?」という顔をされます。「いいに決まってるよ」となるだけです。

万が一撮影がNGの場合は、事前に「撮影はNGです」と伝えられるでしょう。お店側が何も伝えない限り、お客さんは普通に撮影を始めるからです。

昔はイタリアの「ピアッツァ・ドゥオーモ(Piazza Duomo)」やアメリカの「シェフズ・テーブル・アット・ブルックリン・フェア(Chef's Table at Brooklyn Fare)」などが撮影禁止でしたが、今はOKになりました。このご時世、撮影禁止のお店は日本国外に何軒残っているでしょうか。日本人がやっている鮨屋などはあるかもしれませんが、それ以外だと、世界中で10軒ないかもしれない。それくらい稀です。

一方、日本は撮影NGの店がそれなりにあります。もしかすると、人気高級店の1割くらいがそうかもしれません。また、撮影OKのお店でも、事前に聞かずに勝手に撮り始めたら断る、というお店もあったりします。なので、食べログなどで見て撮影OKだとわかっていても、礼儀として「撮影しても大丈夫ですか」と聞くべきです。僕は、何度も通っているお店でも、「撮影しますね」と仁義を切ることが多いです。特に、貸切会でなく他のお客さんがいる場合は、なおさらです。

スマホで撮影する手元
写真=iStock.com/imemei
※写真はイメージです

ラーメン店でのNG撮影行動

浜田岳文『美食の教養 世界一の美食家が知っていること』(ダイヤモンド社)
浜田岳文『美食の教養 世界一の美食家が知っていること』(ダイヤモンド社)

ただ、ラーメンなどのカジュアルな業態は、状況が異なるようです。僕はラーメンの専門家ではないので理由はわかりませんが、周りを見ていても誰も撮影OKかどうか確認しない。ほとんどのお店で、みんな自由に撮影して食べています。そういうお店で、「撮影していいですか?」とあえて聞いてみたことがあるんですが、どんな本格的な撮影が始まるのか、と警戒され、わざわざ店長が出てきたことがありました。それ以降、周りのお客さんが聞いていないお店では、聞くのは止めました。撮影NGという口コミや貼り紙がなければ、周りの雰囲気を見ながら、自由に撮っていいのではないでしょうか。

ただ、多くのラーメン店では、キッチンの中や内観は撮影が禁止されているようです。また、これは日本の他業態でもそうですが、周りのお客さんが映り込むのもNGなので、あくまで料理だけを撮影するのが賢明だと思われます。

浜田 岳文(はまだ・たけふみ)
美食家、フーディー

1974年、兵庫県宝塚市生まれ。米国・イェール大学卒業(政治学専攻)。大学在学中に、ニューヨークを中心に食べ歩きを開始。卒業後、本格的に美食を追求するため、フランス・パリに留学。南極から北朝鮮まで、世界約127国・地域を踏破。「OAD世界のトップレストラン」のレビュアーランキングでは、2018年度から6年連続第一位にランクイン。株式会社アクセス・オール・エリアの代表として、エンターテインメントや食の領域で数社のアドバイザーを務めつつ、食関連スタートアップへの投資も行っている。