レストランレビュアーランキング世界1位になった日本人がいる。浜田岳文さん。世界中のレストランを食べ歩き、年間の外食回数は800回に上る。そのライフスタイルを選ぶために浜田さんが捨てたものとは――。

※本稿は、浜田岳文『美食の教養 世界一の美食家が知っていること』(ダイヤモンド社)の一部を再編集したものです。

盛り付ける人の手元
写真=iStock.com/Gins Wang
※写真はイメージです

好奇心の赴くままに世界中で食べる

フーディーという言葉をご存じでしょうか。

平たくいえば、世界中を飛び回り、現地の美味しい店で食べる、これを日常的に繰り返している人たちのことです。僕自身、まさにこのフーディーという生き方をしている1人です。

これまで南極から北朝鮮まで、世界127カ国・地域で食べ歩いてきました。その体験を、自分のSNS含む国内外のメディアで発信しています。

2017年度には「世界のベストレストラン50」(The World's 50 Best Restaurants/1000人強の投票によって世界ベスト50のレストランを選ぶアワードです)のすべての店を訪れたのですが、翌2018年度から6年連続で、「OAD世界のトップレストラン(OAD Top Restaurants)」のレビュアーランキングで、第1位にランクインされることになりました。現在でも、好奇心の赴くままに世界中を旅して食べ歩いています。

今年6月に米・ラスベガスで行われた、2024年版「The World's 50 Best Restaurants(世界のベストレストラン50)」受賞式の様子。日本のレストランからは「セザン」「フロリレージュ」「傅」がランクインした。
写真提供=50 Best
今年6月に米・ラスベガスで行われた、2024年版「The World's 50 Best Restaurants(世界のベストレストラン50)」受賞式の様子。日本のレストランからは「セザン」「フロリレージュ」「傅」がランクインした。

外食を求めて、家具を捨てた

食についての考え方は、人それぞれだと思います。栄養補給ができればいい、お腹がいっぱいになればいいという人もいるでしょう。僕は今、サービスアパートメント(家具家電付き・清掃サービスありのアパート)に住んでいますが、入居するときにすべての家具を処分しました。元々家具は好きで、オーダーで作ってもらったりするくらいだったのですが、今のライフスタイルになって自分で部屋の維持管理が不可能になったので、好きな家具に囲まれた生活を諦めました。何かひとつのことを追い求めようと思うと、他のことを犠牲にせざるを得ないこともあります。なので、食事を楽しむ時間があれば、自分が熱中している他のことに使いたい、というのはある意味共感できる生き方です。