出て行ってしまえば二度と戻っては来られない

「当時、やれることは全部やりましたね。なるべく物を置かないようにして、壊れるものはガードして、窓も玄関も常に施錠して。家中の棚の扉も、開かないようにきつく紐で縛りました。彼は話せないから、万が一にも突発的に外に出て行ってしまったら、彼はきっと家に二度と戻ってこれない。そういうことを理解して、私だけでなく、当時高校生だった歩も、歩の一つ下の広己も、秋人の安全に配慮してくれていました」

あの時、秋人くんは3歳ぐらいだったろうか。何か不思議な声を出しながら、部屋中をはしゃぎ回り、いつ、どう、気が変わるかわからない、突発的な激しい行動を繰り返す様子に私は目を奪われた。

ぶどうパンのぶどうだけをほじくって食べ、パンをぽいっと捨てるのを、他の子どもたちが「アキトー、だめだよー」と声をかけながら面倒を見ていた姿が印象深い。