アームとばねの仕組みは物理学の基本中の基本だった
モーターが動きカムが角度90度に回転をすると、カムの長手が両アームの支点の下の部分(力点)を押し出して、図表5の(C)のようになります。アームがグググ~ッと開き、両アームにつながった「ばね」はグググ~ッと伸びていきます。その伸びの長さは約7cm。なんとばねは、自然の長さより2倍以上大きく伸びていたのです。
再びカムが角度90度に回転すれば、アームはばねの復元力と重力で閉じていきます。シンプルな機構ですが、物理的に実に面白い!
ただプライズゲットだけを目的にプレイするのではなく、ほんの少しだけでも物理学の視点を用いて観察することで、クレーンゲームは全く違ったものに見えてきます。アームでプライズをつかみ、あるいは引っ掛け、落とし口に運び、ゲットする過程までを物理学で考えると、ゲームはより面白くなります。
鹿児島大学理学部教授。1967年沖縄県生まれ。愛媛大学理学部物理学科卒業、愛媛大学大学院理学研究科、広島大学大学院生物圏科学研究科修了、博士(学術)。東京大学物性研究所中核的研究機関研究員、東北大学金属材料研究所准教授を経て、2010年より現職。専門は強磁場物質科学。2017年日本磁気科学会優秀学術賞受賞。