良い人間関係は脳も守る
ある年のTEDトークで有名になったハーバード大学の研究成果として、次のような内容が明らかになっています。
1 家族、友人、コミュニティなど、周囲とつながりを持っている人は、そうでない人よりも幸せで健康で長生きする。
2 身近な人たちとの人間関係の質が重要である。
3 良い人間関係は、その人の脳も守る。
ハピネスと免疫力については、他にもさまざまな研究成果が見られます。
ハピネスを感じている人ほど、免疫力が高い。
だから感染症に罹りにくいし、がんにもなりにくい。
卵が先か、鶏が先かのような話になりますが、多くの人と交わりながら機嫌良く過ごすことが精神に幸せをもたらしてくれる。これが免疫力を高め、致命的疾患を遠ざけてくれる。するとますます他人との交流も深まり、身体機能の低下も避けられる。
こうして良い人間関係が、健康寿命を延ばしてくれるのです。まさしくこれも、ヒトの健康寿命の8割超を決めてしまう後天的な影響の一つに他なりません。
1982年、熊本県生まれ。慶應義塾大学医学部整形外科学教室特任講師。老化、エピジェネティクスが専門。2005年、熊本大学理学部卒業。2011年、東京大学大学院新領域創成科学研究科メディカルゲノム専攻にて博士号(生命科学)取得。2013年より米ハーバード大学医学大学院に留学し、同大学院フェロー及びヒューマンフロンティアサイエンスプログラムフェローを経て、2017年より慶應義塾大学医学部眼科学教室特任講師に着任。同大学理工学部システムデザイン工学科および医学部精神・神経学教室特任講師を経て、2023年4月より現職。『エイジング革命 250歳まで人が生きる日』(朝日新書)は初著作となる。