個々人の顔の良さや身長、性格や学歴、人柄などの個性は二の次で、「イエとイエのバランス」が最優先されたのです。そうなると「結婚」の成否のカギは、個人の努力の範疇外になってきます。どのような家に生まれるかは、個人の努力ではいかんともしがたく、自分の責任ではありません。

「恋愛」「結婚」フィールドでの二極化

しかしながら、現在はどうでしょう。「結婚」が個人の選択に委ねられた結果、その成否は限りなく個人の努力や才能、生まれ持っての容姿やそれを磨く習慣、人柄や学歴などに大きく左右されるようになりました。「結婚できるか/できないか」「相手から選ばれるか/選ばれないか」は、「自分のあずかり知らぬ次元のこと」と涼しい顔をしてはいられなくなったのです。

その結果、本来最も「競争から遠い」という幻想に守られていた「恋愛」「結婚」フィールドでも、「勝ち組」「負け組」に人々は二極化していきました。「個人の欲望」対「他者の欲望」がぶつかる戦場が婚活市場です。そうなると結局は、「市場における個人の力が強い者(ハイスペック)」が勝者となっていきます。

「経済力」と「魅力」は個人の努力だけでは身につかない

ちなみに婚活市場で闘う一番の武器は、「経済力」と「(性的)魅力」です。しかも今となっては多くの場合、両者を兼ね備えていないと、婚活市場の勝者とはなれません。男性は「稼ぐ力」と「性的魅力(イケメン)」、さらに最近では「家事育児を分担してくれる優しさ」などの生活上の魅力が求められています。一方の女性も「専業主婦になる気満々」より「自分でも働く能力や姿勢」が求められ、かつ「感じの良さ」「優しさ」や「可愛らしさ」を求められます。

ただし、本人や周囲が思うほど、「経済力」と「魅力」は個人の努力だけでは身につかないというのが、難しいところです。親の所得や家柄が、子の「経済力」や「魅力」までをも大きく左右することは、今ではだいぶ知られるようになりました。「経済力」の高い人間は「魅力」さえも大いに身にまとっている確率が高い事実も、様々なデータで明らかになっています。