ラブホテルで20歳の大学生を取材
東京都立大学の教授で社会学者である宮台真司氏が、大学に懲戒処分を受けたという。報道では「都立大 宮台真司教授 “女子学生と不適切行動”で懲戒処分」(NHK News Web)、「宮台真司教授を戒告の懲戒処分 女子学生に不適切な行動」(共同通信 47NEWS) などと、軒並み「女子学生」「不適切な行動」として論じている。
共同通信の「宮台教授は昨年12月、調査研究の一環として、ラブホテルなどで女子学生に取材し、返礼として相談に乗るなどの不適切な行動を取った。週刊誌に報じられ、大学に苦情が寄せられるなど法人の信用を失墜させたとしている」といった報道に対して、Yahoo!ニュースでは多くのコメントが寄せられていた。大半が、「女子大生と関係を持つのは許されない」「大学の対応は当然だ」「もっと厳しい処分を」という論調であった。これには少し驚かされた。
宮台氏は、1990年代には女子高校生が着用済みの制服や下着を売る「ブルセラ」や「援助交際」のフィールドワークをするかたわら、自らの奔放な性関係についても多くの発言をしてきた。それらは、とがめられるというよりは、むしろ称賛されることも多かった。
私は氏のこういった「分析」に納得してはいない。しかし、時代が変われば、ここまで反応が変わるのかと感慨さえ覚える。やはり#MeToo運動を経過して、格段に性的な関係における権力関係が問題とされるようになったという実感がある。
年齢差もあり立場も違う
64歳である宮台氏は、20歳の女子大生とは44歳も年が離れている。社会的な立場も経験も知識もすべてが異なっており、宮台氏が彼女との関係で優位に立っていることは明白である。
繰り返すが、近年はこうした力関係に焦点が当てられ、とくに未成年の子どもを、性的な行為を目的として手なずける「グルーミング」には、批判の目が向けられている。女子学生は宮台氏の強烈なファンを自称していたというが、のちに「私はだまされていたのだ」と思うのではないかと心配でもある。