「男は論理的、女は感情的」のウソ

でも、いいんです。大丈夫、捨てる神あれば拾う神ありで、呼んでくれる人たちもいます。別のマーケットがあるからです。

上野千鶴子『こんな世の中に誰がした?』(光文社)
上野千鶴子『こんな世の中に誰がした?』(光文社)

よく男は論理的、女は感情的と言いますが、わたしは男が論理で動くなんて思ったことがありません。もし論理で動くなら、世の中にもっと正論が通っているはずです。彼らが何で動くかですって? 利害です。

女も利害で動くけれど、損得勘定は相対的に男のほうがはっきりしています。利害をちらつかせたら、彼らはかんたんに落ちます。政治家を見ているとわかるでしょう。

歳を取ったら邪気が減ってきて無邪気になりました。加齢の効果です。若いときは邪気満々。昔はオヤジ転がしが楽しくて仕方なかったけれど、今はどんどん無邪気になりました。無邪気になるほうが人生はずっと楽ですが、邪気は人間のエネルギーにもなります。

上野 千鶴子(うえの・ちづこ)
社会学者

1948年富山県生まれ。京都大学大学院修了、社会学博士。東京大学名誉教授。認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク(WAN)理事長。専門学校、短大、大学、大学院、社会人教育などの高等教育機関で40年間、教育と研究に従事。女性学・ジェンダー研究のパイオニア。