②発作が起きたときの対応

パニック発作が起きたときに、周りの人にはどう対応してほしいと考えているのか、あらかじめ聞いておきます。

パニック発作を目の当たりにした周りの人たちは、驚いて救急車を呼ぼうとするかもしれません。しかし、発作は10分~20分もすれば落ち着きますし、本人は非常に苦しくつらいものの、命に別状はありません。救急車が到着するころには、発作がおさまって何ともないということもありえます。本人も、あまり大ごとにしてほしくないと考えていることもあります。

本人が、「発作が出たら、その場を離れて、ゆっくり休める場所がほしい」と言う場合は、休憩室やロッカー室、空いている会議室など、一人で休める場所を決めておきましょう。また、会議中に発作が出そうになったら、その場を離れてもいいなど、伝えておくといいでしょう。

また、発作が出ると動けなくなるので、そのときに具体的に何をしてほしいのかも聞いておきましょう。薬を手渡してほしいという場合は、薬がどこに置いてあるか共有しておきます。また、発作中はペットボトルのキャップも開けられなくなることがあるので、水を飲ませてほしいという場合は、どのようにサポートすればいいのか、聞いておきます。

③発作が長引いたらどうするか

発作が通常、どれくらい続くのかを聞いておきます。あわせて、発作が長引いた場合はどうしてほしいかも、聞いておきましょう。

パニック発作は10分~20分でおさまることが多いですが、1時間を超えてもおさまらない場合は、他の疾患の可能性があります。「発作が1時間でおさまらない場合は、救急車を呼ぶ」などと、あらかじめ決めておくと、お互いの安心感につながります。

病気そのものに加え周囲の無理解にも苦しむ

パニック障害は、誰でもかかる可能性がある病気です。大人だけでなく、子どももかかる可能性があります。耳にしたことがある人が多いわりに、どんな病気なのか知っている人は、まだまだ少ないように感じます。そして患者さんたちは、症状のつらさに加え、周囲の無理解でつらい思いをしている人が少なくありません。

少しでも多くの人がこの病気について理解を深め、患者さんたちが安心して治療に向かえるようにサポートしてあげてほしいと思います。

構成=池田純子

井上 智介(いのうえ・ともすけ)
産業医・精神科医

産業医・精神科医・健診医として活動中。産業医としては毎月30社以上を訪問し、精神科医としては外来でうつ病をはじめとする精神疾患の治療にあたっている。ブログやTwitterでも積極的に情報発信している。「プレジデントオンライン」で連載中。