病院に行きたいのに行けない

本当は、症状が深刻になればなるほど、受診して治療することが必要なのですが、広場恐怖のために行動が制限され、「電車に乗れないので病院に行けない」「病院そのものに恐怖感が生まれてしまう」などで、治療がなかなか進まなくなることも少なくありません。

医師としては、調子が悪いときほど、頻繁に病院に来てほしい一方で、患者さんにその都度、苦手な乗り物に乗るという負担を強いることになるのでジレンマに陥ります。本人も、「行きたいけれど行けない、たどりつけない」という、つらい状況になります。

治療は服薬と生活習慣の改善から

このように、パニック障害は非常に深刻でつらい病気です。しかも、原因がはっきりわかっておらず、誰がなってもおかしくありません。

ただ、もともと感受性が強い、不安や恐怖を感じやすいといった性格要因や、強いストレスにさらされることがきっかけになるといった環境要因もあるといわれています。ですから、パニック障害と診断された人は、なるべくストレスを避けて過ごすことが大切です。

治療は簡単ではありません。「抗不安薬」や「抗うつ薬」といった薬を使って、パニック発作が出にくくなるよう抑えたり、できるだけストレスを抱え込まない生活習慣に変えていくなど、本人の状態に合わせて複数の方法を組み合わせて対応していきます。睡眠をしっかりとったり、趣味でリフレッシュしたりして、自分のコンディションを整えることに加え、食事にも気を付ける必要があります。カフェインをとると発作が出やすいといわれているので、カフェインを摂るのも控えるようにします。

こうして、服薬や生活習慣の改善などで、できるだけ発作が出ないようにしながら、苦手な環境に少しずつ慣れていきます。