ネガティブな感情を払拭し、幸せを感じるにはどうすればよいか。米国カリフォルニア大学リバーサイド校の心理学教授であるソニア・リュボミアスキーさんは「わたしたちは、感謝をする習慣と幸福度の関係について調べ、週1回の感謝日記が参加者の幸福度をかなり高くしたことを突き止めた」という――。

※本稿は、ソニア・リュボミアスキー『新装版 幸せがずっと続く12の行動習慣』(日本実業出版社)の一部を再編集したものです。

地獄から天国をつくりだすためにすべきこと

いうまでもありませんが、あなたが幸福になるためには、「自分自身はもちろん、周囲の人々、世の中のあらゆることについてどのようにとらえるか」ということが、生活環境よりも大切です。詩人のジョン・ミルトンが『失楽園』で、「心は自分だけが住む場所である。そのなかでは、地獄から天国をつくることも、天国から地獄をつくることもできる」と述べているようにです。

これから紹介する3つの行動習慣「感謝の気持ちを表わす」「楽観的になる」「考えすぎない、人と比較しない」はどれも、人生についての考え方を変えることを目的としています。地獄から天国をつくりだし、喜べることを探して、小さなことにくよくよするのはやめるというものです。

ずっと以前から哲学者や作家、そして私たちの曾祖母たちは、私がここで述べているような3つの行動を称賛してきました。「もっと楽観的になろう」「あまりくよくよするな」「もっと感謝の気持ちをもてば気分がよくなる」といったアドバイスは、何世代にもわたって受け継がれてきたのです。

天国と地獄を導く道標
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「感謝」は幸せになるためのメタ戦略

でも、次のような疑問が生じるかもしれません。なぜ、そのような言葉が今日の私たちにとって大切なのか? なぜ、そのアドバイスを学んで習慣に変えるために、貴重な時間やエネルギーを費やす意味があるのか? さらに、その習慣自体が果たして学べるものなのかどうか? また、もし、そのような習慣が身につくようにトレーニングをしたとして、ほんとうにもっと幸せになれるのだろうか?

私は不確実な推測ではなく、科学によって証明された方法だけを選びました。幸福度とは遺伝が50%、外的環境が10%でつくられており、残りの40%は自分の行動でつくられています。

ここにあげた行動をあなたの人生に当てはめ、自分で変えることができる40%として役立ててください。なぜなら、「40%」という数字は、自分自身を幸せにすることができる可能性を十分に示しているからです。

ここでは「感謝の気持ちを表わす」ことについて述べていきます。「感謝」は幸せになるためのある種の「メタ戦略」のようなものです。「感謝」の意味は人によってさまざまです。それは感嘆したり、失敗や敗北したときでも明るく認められることや、豊かさを味わうことだったりします。または、誰かに「ありがとう」と声をかけ、自分が恵まれている点を数えあげることかもしれません。