婚活がうまくいかない女性には、結婚に向かない相手や、そもそも結婚する気がない相手に尽くしすぎてしまう人が一定数いるという。アラフォー・アラフィフ専門婚活カウンセラーの伊藤友美さんは「婚活で『いい人と出会えない』と思っている人のなかには、みずからいい人を遠ざけているケースがある。例えば『私が相手を幸せにしなければ』という責任感が強い女性には、親の愛情に「不足感」を抱いている人が実は多く、自分の「意識」が変わると、出会う相手も変わっていく」という――。

「婚活沼」にハマりやすい女性の共通点

婚活沼とは、結婚すると決断しないままずるずると婚活し続け、異性との間に起こる現実に一喜一憂する状況を指す。

婚活沼にハマってしまう理由は人によってさまざまだが、今回は、「私が彼を幸せにしてあげなければ」と思い込み、結婚に向かない相手や、そもそも結婚する気がない相手に尽くしすぎてしまう女性の事例を紹介する。

そのような女性たちの中には、責任感が強すぎるあまりに自分を責めたり、自分を認められなかったりする人が少なくないのだ。

元カレへの未練を引きずり40歳に

S子さんは、大手食品メーカーに勤める42歳。おっとりとした雰囲気で、趣味は料理。会社では、チームリーダーとして責任のある仕事を任されており、多忙な日々を送っている。

結婚相談所に登録して婚活を始めたものの、「お見合いをしても、ことごとくうまくいかないんです」と、2年ほど前に私のところへ相談に訪れた。

S子さんの悩みは、まじめで誠実そうな男性にはどうしても興味がわかないこと。「私が幸せにしてあげなければ」という使命感を抱かせる、どこか「弱くて放っておけない雰囲気の人」にひかれてしまうのだという。

S子さんには、30歳の頃から3年間、交際していた男性がいた。相手は、友達に誘われて行ったライブハウスで演奏していたインディーズ系のミュージシャン。ルックスも、どこか陰のある雰囲気も好みのタイプだった。ミュージシャンといっても音楽活動での収入はなく、実際のところはフリーター。デート代はいつもS子さんが支払っていた。

キッチンで野菜を洗いながらパートナーと笑顔で話す女性
写真=iStock.com/Studio4
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3歳下の彼には生活力がなく、放っておくとまともに食事もとらずに家で寝てばかり。そんな彼のことが心配で、S子さんはしょっちゅう家に行って料理をしたり、掃除をしたりして世話を焼いていた。

彼は酔うと、「オレなんてダメな人間だ」と弱音を吐いた。そのたびにS子さんは励ましたりなぐさめたりして、彼を精神面でも支えていた。

S子さんは、そんな彼と「いつかは結婚したい」と夢見ていた。「私が彼を支えて、幸せにしてあげなければ」と心底思っていたのだという。