止まらない閉店ラッシュ…飲食経営のプロが語る、“から揚げ専門店ブーム”がわずか2年で終わったワケ(清談社)

コロナ禍で店舗を増やした「から揚げ専門店」だが、ここにきて倒産が止まらない。帝国データバンクによると、2023年11月までのから揚げ専門店の倒産が、前年の7倍規模に達したという。から揚げ専門店ブームはなぜ過ぎ去ったのか? 

※写真はイメージです ©AFLO

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「から揚げ専門店」がブームになったワケ

小規模な敷地面積で出店できるうえに、高い技術を必要としないから揚げ専門店は、コロナ禍のテイクアウト需要とともに増加していたが、ブームは急速にしぼんでいる。背景について、飲食店コンサルタントの永田雅乙氏に聞いた。

そもそも、なぜ「から揚げ専門店」がブームになったのか?

「もともと、私たちの生活に密着したおかずのから揚げですが、近年は『からあげグランプリ』の開催などにより、ブランディングが進みました。加えて、景気が悪くなると専門店やテイクアウトが流行する、という業界の流れがあります。専門性を高めるとバズりやすく、小資本でも始めやすい。

から揚げは万人受けするメニューですし、調理に特別なスキルも必要なく、スペースも取らないから、個人事業主や中小事業主にとって『自分でもやれそう』という気になりやすかったのです。そのような要素によって、から揚げ専門店は増加していきました」(永田氏)

そもそも家で作れてしまう

しかし、永田氏は、ブームはそれほど長くは続かないのではと予想していたという。

「そもそも、から揚げは家で作れます。自宅で揚げるのが面倒だとしても、今やスーパーや惣菜屋、コンビニでもから揚げは売られ、冷凍食品も山ほどある。から揚げ専門店より安い商品も多い。そのなかで『わざわざから揚げ専門店で買う必要があるのか?』と思われるのは時間の問題でした。

顧客は基本的に、“自宅では調理が難しいもの”を外食に求めますので、から揚げ専門店のブームは、ほかの飲食業と比較すると短命に終わるのではないかな、と。また、『からあげグランプリ』などグルメ賞レースの受賞歴などは一見目を引きますが、出品するだけでなんらかの賞をもらえるケースも。次第に消費者もその事実に気づき、ブランディングという点でも早々に下火になってしまった」