ハズレが少ないのは入社後にやりたいことを明確に語れる人

「即戦力」というのも、とても曖昧な言葉です。能力や経験があったとしても、企業が求める方向性と違っていたり、志向性が想定と違ったり、採用した時点では戦力になったとしても、数年先にそれが続かなかったりします。

だからこそ、求める人材像を明確にし、中途採用でも決してないがしろにせず、きちんとした採用選考と教育を行う必要があるのです。

漠然と「長く働きたい」という応募者もいます。しかし、その「長く」の間、何を成し遂げたいのか、を語れる人は多くありません。

西尾太『人事で一番大切なこと』(日本実業出版社)
西尾太『人事で一番大切なこと』(日本実業出版社)

私が採用したいと思うのは、たとえば「入社後3年から5年の間に○○をやりたいです」と明確に語れる人です。この人が、3年や5年でそれを成し遂げたときに、次にやりたいことが自社にあれば続けて働くでしょうし、なくなれば辞めるでしょう。ちなみに、これまで見てきた中では、こういう志向の人のほうが、結果的には長く働いてくれています。

要するに、「どんな人材にどれだけの期間働いてもらうのか」をしっかりイメージして採用に取り組んでいただきたいのです。

「どうやって採用するのか」の前に、「誰を採用するのか」を明確にするのです。

西尾 太(にしお・ふとし)
人事コンサルタント、フォー・ノーツ代表

「人事の学校」「人事プロデューサークラブ」主宰。1965年、東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。いすゞ自動車労務部門、リクルート人材総合サービス部門を経て、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)にて人事部長、クリエイターエージェンシー業務を行なうクリーク・アンド・リバー社にて人事・総務部長を歴任。著書に『人事の超プロが明かす評価基準』(三笠書房)、『超ジョブ型人事革命』(日経BP)などがある。