それは相手が言ったことか。それとも妄想か

その後、「妄想と現実の切り分けができるようになって、気持ちが安定しました」と報告してくれたT子さんだったが、またしても「彼が~してくれない」という妄想に陥ることになる。

つき合い始めて半年ほどが過ぎたが、彼が自分の家に招いてくれないのが不安なのだという。「家によんでくれないということは、将来のことは考えていないということでしょうか」とまたもや妄想に走るT子さん。そこで、もう一度「妄想からの脱却ワーク」をやってもらった。

T子さんが書き出した「不安・不満」は次の通りだ。

・つき合って半年もたつのだから、将来の話が出てもいいのでは?
・家によんでくれないということは、彼は私との結婚は考えていないということ?
・家に行ってみたいけれど、そんなことを言ったらひかれるかもしれない。

「この考えは、私を幸せにする?」と自分に問いかけ、「いいえ、どれも彼が言ったことではなくて、私の妄想でした」ということに気づいたT子さん。無事に、ネガティブな妄想を手放すことができた。

妄想から脱却すると、シンプルに「自分が望んでいること」が見えてくる。「彼の家に行ってみたい」と望むのは、T子さんの自由だ。そして、その望みは彼に伝えなければ伝わらない。まずは伝えること。もちろん、そのうえで相手がその望みを断ることも自由だ。相手に望んでいることを無視されたり、断られたり、「結婚は考えられない」と言われたら、「それなら、別の人を探す」のか、「それでも、彼との関係を続ける」のか、自分で決断すればいい。

日没の屋外で手をつなぐカップル
写真=iStock.com/Eva Blanco
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T子さんは、ネガティブな妄想が浮かぶたびに、「妄想からの脱却ワーク」を繰り返した。すると、「望んでいることや思っていることを、素直に相手に伝えられるようになりました」という。つき合って1年もたたないうちに2人は一緒に暮らすことになり、1カ月後には入籍をした。

「不思議なことに、結婚と同時にお給料も上がったんです」とT子さんは報告してくれた。自分の望みに素直に向き合うようになると、恋愛だけでなく仕事も好転するというのは、よくあることだ。

婚活女性だけでなく、既婚女性の中にも、相手の気持ちを勝手に想像して落ち込んだり、勝手に期待して失望したりする人は多い。そんな「妄想ぐせ」は、一刻も早く手放したほうがいい。相手の気持ちはコントロールできないが、自分のマインドは変えることができる。「この考えは、私を幸せにする?」と問いかけて、自分で自分を幸せにする習慣を身に付けてほしい。

伊藤 友美(いとう・ともみ)
アラフォー・アラフィフ専門婚活カウンセラー

1970年生まれ、東京在住。約9年間の婚活中には、条件を下げたり、妥協を重ねることで「婚活ウツ」を発症。そこから研究を重ね、数々のワークを生み出し、実践。39歳から再開した婚活では、出会いから2カ月でプロポーズに至るスピード婚を果たす。自身の経験を通じて構築した〈最短最速で理想通りの男性と結婚する方法〉を伝える「3ヶ月で全員婚活卒業!婚活塾」は全国から参加の受講生で毎回即満席となる。受講生の成婚年齢は40代が一番多く、平均44歳。50代の成婚者も少なくない。結婚相談所Lulu Spacesの代表も務める。近著は『結局、理想を下げないひとが選ばれる』(フォレスト出版)。