「仕事がないと不安」という呪縛から解放された

いちばん驚いたのが、コロナ禍でスタジオのクライアントさんたちの予約が次々にキャンセルとなっても、さほど不安に感じなかったという点です。

個人事業主や自営業の方には、多かれ少なかれ同じような感覚があると思うのですが、お金うんぬん以前に予約のキャンセルが相次ぐこと自体が、メンタル的に大きなダメージになります。

自分の腕が落ちたとか、お客さんの間で評判が下がったとかいう理由ではないとしてもです。

コロナ以前、私は自分がメンタル的に強い人間だと思い込んでいましたが、それでもスケジュールが空いていると、自分が求められていない気がして不安になることがしばしばありました。

スタジオの予約枠は常にびっしり埋まっていないと、自分がダメになっていくような強迫観念がずっとあったのです。

ところがコロナで本当に強制リセットとなり、日々のスケジュールは真っ白になりました。

朝起きても何もすることがなく、最初のうちは茫然ぼうぜんとしていました。

でも、そこは切り替えの早い私のことです。これまで「時間がない」を理由に先延ばしにしていた不用品の整理を、この機会にやってみようと思い立ちました。

スケジュールを記入する手
写真=iStock.com/miya227
※写真はイメージです

まずは写真を整理

最初にとりかかったのは、写真を整理することです。

写真というのは、すなわち「過去の自分」ですよね。私は執着心がさほど強くなく、特にイヤなことは忘れるようにしてきたので、自分には苦い過去の思い出などないと思い込んでいました。

だから、写真にもさほどの思い入れはないつもりでした。

7年前に今の団地に引っ越してきたとき、大量の写真を処分しています。

ところがいざとりかかってみると、思いのほかたくさんの写真を手元に残していることに気づきました。やはり自分で思っているほど簡単に、過去への執着はなくせるものではないのだなと感じました。

それと同時に、これから本当に前を向いて生きていきたいのであれば、私の人生において大転換点になるであろうこの時期に、バッサリと処分すべきではないかとも感じたのです。