死亡したのは周りの男が色めき立つほど美しい女性だった

彼女が紹介してくれた友人とは後日、会うことができた。ユキと名乗る19歳。金髪とつけまつげ、派手な化粧で、未成年には見えなかった。ユキがその女性と初めて会ったのは、飛び降りる1カ月ほど前の9月上旬だったという。

「私もあの子も歌舞伎(町)の路上にいて1人で飲んでたの。話しかけたら気が合ったから、『じゃあ、どこか飲みに行こうよ』って誘って2人でバーに行った。連絡先を交換して、その後は2回くらい一緒に飲みに行ったんだ」

ユキによると、その女性はメイと名乗っていた。一緒にバーに行くと、周囲の男性客が色めき立つほどのルックスだったという。

「本当にきれいな子だった。スタイルもよかった。暗い雰囲気も全然なくて。でも、飛び降りたって人づてに聞いて写真を見たときは、実はそこまで驚かなかったんだよね」

彼女はメイが飛び降りた直後の現場をとらえた写真を持っていた。やじ馬が撮ったもので、その頃、歌舞伎町に出入りする人たちの間で拡散されていた。ユキは一目見て「メイだ」と分かった。そして「ホストクラブさえ行かなきゃよかったのに」と思った。

メイは連日ホストクラブに通い、多額の金を担当に使っていた。一方で、いくら金を落としても思うように振り向いてくれない担当を憎み始めてもいた。メイと飲みに行くと、いつもユキを聞き役にして、ホストにはまって抜け出せない現状を自嘲した。「200万円の掛けがある」と明かし、こんな悩みを口にしていたという。

歌舞伎町にあるホストクラブの看板
撮影=プレジデントオンライン編集部
※写真はイメージです

ホストクラブに200万円の借金があり「人生、もう詰んだ」

「掛けなんかすぐ返せるとは思うけど、担当からしたら、結局私はお金を使うだけの存在なんだよね。めっちゃお金を使った時は『好き』って言ってくれるけど、本当の気持ちって全然分からない。やっぱり好きなのは私だけなのかな……」

はっきりとは言わなかったが、夜の店で働いているようだった。最後に会ったのは9月中旬で、力なく「私の人生、もう詰んだー」と言うメイの姿を、ユキはよく覚えていた。

ユキは「そんな簡単に人生詰まないって。その店、二度と行かなけりゃいいじゃん」と言ってみたが、「全然届いてなかった」。メイとは3回、一緒に飲んだが、いつもホストの愚痴を聞かされた。「あなたみたいにきれいなら、いくらでもいい男、つかまえられるよ。ホストクラブさえ行かなきや、普通に幸せに暮らせるのに」と言うと、メイは笑いながら、気のない返事をしたという。