新型コロナウイルスの流行が始まった頃、感染者からは「申し訳ない」という言葉がしばしば聞かれた。背景には何があったのか。医療ガバナンス研究所理事長で医師の上昌広さんは「日本は積極的疫学検査を行っていた。これは隔離中心の古い感染症対策の象徴であり、差別を助長する諸悪の根源だったように思えてならない」という――。
※本稿は、上昌広『厚生労働省の大罪 コロナ対策を迷走させた医系技官の罪と罰』(中公新書ラクレ)の一部を再編集したものです。
「積極的疫学調査」は学術調査とは性格が異なる
日本ではウイルスのゲノム解析の結果が、変異対策などに使われるのではなく、「積極的疫学調査」という日本だけの独特な仕組みのために使われた。例えば、千葉県衛生研究所は、2023年5月8日になってもホームページ上の「新型コロナウイルスのゲノム解析について」という項目の中で、「ゲノム解析の結果は、積極的疫学調査に役立てられます」と説明している。
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