なぜ身長が高いと得をするのか

これまで見てきたように、身長が高いことにはさまざまな面でメリットがあります。なぜこのようなメリットがあるのでしょうか。実はこれにはいくつかの理由が指摘されています(*9)

まず1つ目は、身長が良好な健康状態を反映している可能性です。身長は子どもの頃からの栄養状態や健康が反映される可能性があるため、高身長の人ほど健康面で問題がなく、学業や仕事に打ち込むことができると考えられます。この結果として、学歴が高くなり、所得も上昇するというわけです。発展途上国を中心に、この身長と健康の関係は、無視できないでしょう。

2つ目は、自尊心との関係です。心理学の研究によれば、身長が自尊心や社会的評価に影響を及ぼすことがわかっています。高い身長が自尊心の向上につながり、仕事の成功につながる可能性があるわけです。この結果として、所得や結婚割合が増加するようになると考えられます。

3つ目は、認知能力との関係です。認知能力とはIQ、学力、記憶力といったペーパーテストで測ることのできる能力です。これまでの研究の結果、身長の高い人ほど認知能力も高くなる傾向があるとわかっています。高身長の人の持つ相対的に高い認知能力が高い学歴や仕事の成功にもつながるというわけです。

身長の測定装置
写真=iStock.com/chameleonseye
※写真はイメージです

身長、顔の美しさが採用で有利になる

4つ目は、雇用主が好んで高身長の人を雇うといった可能性です。企業が人を雇う際、できれば優秀な人材を雇いたいと思うでしょう。ここでもし高身長の人ほど認知能力等が高いといったことがわかっている場合、高身長の人を好んで雇う可能性があります。企業の業績や行く末を考えて、雇用主は合理的な理由から高身長の人を雇うわけです。

実は顔の美しさに関しても、身長と同じ傾向があることがわかっています。テキサス大学オースティン校のダニエル・ハマーメッシュ教授によれば、顔が美しい人ほど仕事で成果を出す傾向があります(*10)。雇用主もその高い生産性を好み、顔が美しい人を採用しやすくなるというわけです。

人の見た目にはその人の能力の一端が示されている可能性があるため、雇用主も見た目を1つの採用基準とすることがあると言えるでしょう。

見た目による採用にも、ある種の合理性があるわけです。