一発目が大ヒット、しかし“二匹目のドジョウ”はいなかった

とにもかくにも、事業を語る時の佐藤さんは熱い。しかしその熱意が裏目にでることもあった。

「自分でも実行力はあると思うのですが、欠けていたのは、大胆さと慎重さのバランスでしょう」と、“痛い目”に遭ったエピソードを語る。

佐藤さんの部署では、数々の商品が有名アニメーションやゲームとタイアップした企画提案や販売を行っている。アニメやゲームのストーリーの中に入りシチュエーションにフィットする即席麺をつくるというもの。

「数年前にあるアニメとタイアップし、コラボ商品を弊社のオンライン限定で売り出したところ、SNSでバズってものすごく売れたのです。これは第2弾もいけるはずだと、有名ゲームとタイアップして、前回よりもインパクトのあるオリジナルデザインのカップヌードルをオンライン限定で発売しました」

“柳の下の2匹目のドジョウを狙え”とばかり、イケイケドンドンで大量のオリジナルカップヌードルをつくったのだが……。

「第1弾と違って最初から風向きが怪しかったですね。そのうち微風に変わっていって(苦笑)、売り上げが伸びない。結局半分近く在庫を抱えてしまいました」

もちろん、数字を見ていた営業部とも合意のうえでの生産だったので、佐藤さんだけに非があるわけではない。とはいえ彼女は事業の責任者。社長の決裁を仰ぐ際、恐る恐る書類を出したところ

「二度はないからね」と、社長から放たれたのは一言のみ。

同じ過ちは二度と起こすべからず、と釘を刺されたのだ。

「『できることを積み上げるな』と同様、これも相当こたえましたね。もちろん慎重すぎると機会損失になってしまいますが、アクセルを踏みっぱなしなのも良くない。ある程度予約数を確保してから生産するといった、リスクヘッジの大切さも学びました」