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図3 06年以降、急に膨らんだ個人向け住宅ローン

しかし、身の丈以上のマンションを購入していた可能性が高い。それというのも、賃金の伸び率が横ばいで推移していたのにもかかわらず、住宅ローンの貸出残高が前年比2ケタ以上伸びているから(図3参照)。つまり、この時期にマンションを購入したプチ高所得者は、自分の賃金に見合わない高いバブリーな物件に手を出した公算が大きいのだ。

実際、家計が苦しくなって相談にきたケースで、額面年収の800万円に対して、住宅ローンの年間返済額が250万円ということがあった。「余裕のある家計を実現したいのなら、住宅ローンの年間返済額は年収の20%以内」というのが、家計診断の経験から弾き出した私独自の基準だ。この場合、家計を圧迫しているのは明白。返済期間を延長して毎月の支払額を減らすにしても、「75歳までに完済」といった年齢条件に引っかかったりして限界がある。思い切って売却し、安い賃貸に住み替えるのが賢明だ。

しかし、ここでも妙なプライドが邪魔をして、正常な判断を下せない。「賃貸物件に引っ越したなんて学校で知られたら、子供が何ていわれるかわからない」「ローンの返済と変わらない金額の家賃を払うのだったら、このまま住んでいてもやりくりは同じ」といって、固定資産税や管理費、そして高い利息をせっせと払い続けることが少なくないのだ。

水面下では自己破産する人も増えている。そうした悲劇を避けるためにも、「自分は割り切りのできない高所得者かもしれない」と思い当たるアッパー・ミドルがいたら、いますぐ家計見直しの手を打つことをお勧めする。

※すべて雑誌掲載当時

家計の見直し相談センター 藤川太
1968年生まれ。慶應義塾大学大学院理工学研究科修了。自動車メーカー勤務を経て、ファイナンシャルプランナーとして独立。『サラリーマンは2度破産する』『貯まる!資産3倍手帳』など著書多数。