警察に通報する前、本人に了解を取るのがベター
警察法の第二条には、「警察は、個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕、交通の取締その他公共の安全と秩序の維持に当ることをもってその責務とする」と書かれています。一般に我々は、警察は他殺や事故の問題を扱うと考えがちです。しかし、ここでの「個人の生命、身体及び財産の保護」には自殺の問題も含まれており、警察は自殺の危険が差し迫った状態にある市民の保護も行ってくれます。
警察に通報をする場合には、可能であれば通報の前に、自殺の危険に晒された人に警察を呼ぶことの許可を得た方がその後の関係性を考えれば良い場合が多いと思います。警察に対してはさまざまなイメージを持っている人がいるので勝手に通報をしない方が良いとは思いますが、とはいえ、それを拒否する人もいるでしょうし、拒否をされてでも呼んだ方が良いと判断している場合もあるとは思います。
拒否をされてでも警察を呼ぶつもりであったとしても、「通報して保護してもらおうと思うけれども良いか?」と聞いてみると案外あっさりOKしてくれるという場合もあるので、そのようなやりとりを挟んだ方が良いと思います。
緊急事態でなければ自分で対応することを考えてみる
119番や110番をするほど差し迫った状況ではない場合、自分でなんとか対応してみようと考える人もいると思います。こういうことは専門家(例:精神科医)に任せた方がいいのではないかと考える人もいるかもしれませんが、私は、「死にたい」と言われたその人が頑張って対応をしようとすることは基本的にとても良いことだと思います。
もちろん、専門家に任せた方がいいとか、任せなければどうにもならない場合もあります。しかし、自殺というものは基本的にかなり稀な現象であり、長い目で見ても「死にたい」と思った人の大半は自殺をしません。一方で、死にたいと思うことそのものはそれほど稀なことではないため、死にたいと思ったあらゆる人に専門家が対応することはそもそも現実的ではありません。専門家というのは「資源」であり、資源には限りがあるからです。