フィルター掃除をしてもカビは減らない

エアコンのカビ汚染には注意が必要ですが、だからといって使用を控えることは熱中症の危険もあるため現実的ではありません。そこで、清潔なエアコンを保つために欠かせない清掃について、上記に挙げた調査で少し意外な事実も示されているのでご紹介します。

掃除機でのフィルター掃除ではカビの減少は見られず、むしろフィルター掃除をしなかった場合に対し、掃除をした方がカビの量が多くなった例もあったそうです。水洗いや洗剤を用いた洗浄をおこなった場合であっても、一般カビ・好湿性カビどちらも減少傾向は確認できず、効果がなかったということです。一方、プロによる清掃サービスを受けた場合はカビ数の減少が確認され、効果がみられました。最近のエアコンに搭載されている自動クリーニング機能も内部のカビ抑制、特に高湿性カビには効果的であることが判明しています。

掃除したエアコンフィルターを元の位置にセットする手元
写真=iStock.com/Kira-Yan
※写真はイメージです

プロによるエアコンクリーニングを年に一回受けるだけでも、カビの発生数は優位に減少したということです。健康的な生活を送るため、清潔な状態を維持したエアコンを利用するよう心がけていただきたいと思います。

湿度70%以上、気温15~30度で繁殖しやすい

身近なカビの種類としては黒カビ、青カビ、赤カビ、白カビ、ススカビなどが存在します。食品や建物の内部、壁や床の表面、家具、布地、書類、植物や土壌など、カビは空気中のどこにでも存在し、条件が揃うと繁殖し、広がります。

カビ菌の種類にもよりますが、カビが繁殖しやすい条件は主に以下3つで、これらの条件が揃うと爆発的に繁殖します。(「カビ対策マニュアル 基礎編」文部科学省)

・70%以上の湿度(60%以上から活発に活動、80%以上で一気に繁殖)
・15~30度の気温(25~28度がもっとも生育に最適)
・栄養分(食品の食べカス、ホコリ、汚れ、ダニなど)

ヨーグルトやチーズなど、害のないカビもある一方、黒カビ、青カビ、ススカビは人体に悪影響を及ぼします。カビの胞子が体内に入ることで、気管支ぜんそくや鼻炎といったアレルギー症状が現れる場合があります。

呼吸器疾患である「アレルギー性気管支肺アスペルギルス症」はカビが原因で起きるもので、「アスペルギルス」とはカビの一種です。畳やじゅうたん、押し入れ、冷蔵庫、エアコンなどの生活空間に繁殖します。実は量の差はあれど、ほとんどの人がほぼ毎日吸入していますが、気管支ぜんそくを患っている方は特に発症しやすく、症状が進行すると息切れ・呼吸困難が常に起こるようになります。