カギは建設国債と埋蔵金
建設国債といきなり言われても、唐突に感じる読者が多いだろう。
実は建設国債の対象には、さまざまなものが含まれる。予算編成時に、一般会計の予算総則の中にある「表」に書き込めればOKということになる。
これまで、どういうものが書き込まれたかを説明しよう。
たとえば、海上保安庁の船舶建造費。これが公共事業関係費として計上されている。
「なぜ海上保安庁の船が公共事業なんだ?」と思われるだろうが、これはもう過去のいきさつからとしか説明しようがない。
ポイントは、海上保安庁の船舶が入っているなら、海上自衛隊の船についてはここに入らないという理由は、ロジカルにはないという点だ。
さらに、人工衛星の経費が書き込まれたこともある。
ちょっと考えてみてほしい。人工衛星とはどういうものか。
一番上に乗っかっているのは衛星だ。その下はロケットだ。
そして、ロケットとミサイルは、構造が同じである。衛星を爆弾に置き換えれば、ロケットはミサイルになる。
そして、安倍元首相が言っていた「防衛国債」とは、ずばりこの建設国債のことである。だから私はいろいろな所で、「この建設国債でやるというのは、安倍さんが言っていた話ですよ」と、話して回っている。
もっとも、財務省はこれについてもさまざまな理屈をこねくり回している。それこそディフェンダーが何人もくっついてくる。
③ 「その他収入(埋蔵金)」
これは少々複雑なのでここでは説明を省くが、野党の人等からの質問が多いので、いわば左サイドから攻める方法だ。
現状、財務省は医療法人については、やると言っている。これは2000億円、つまり0.2兆円だ。他に外国為替資金特別会計(外為特会)という話も出てきている。
ここも財務省のディフェンスが堅い。
④ 自然増収
これについては、確実性がないと財務省が消極的だ。
⑤ 増税
これこそ財務省の大本命だ。当面はつなぎ国債として増税に結びつけたいというのが財務官僚の戦略だ。
②あるいは③でゴールできれば、⑤の増税には至らないのである。
1955年東京都生まれ。東京大学理学部数学科・経済学部経済学科卒業。博士(政策研究)。数量政策学者。嘉悦大学大学院ビジネス創造研究学科教授、株式会社政策工房代表取締役会長。1980年、大蔵省(現財務省)入省。大蔵省理財局資金企画室長、プリンストン大学客員研究員を経て、内閣府参事官、内閣参事官等などを歴任。小泉内閣・安倍内閣で経済政策の中心を担い、2008年に退官。主な著書に、第17回山本七平賞を受賞した『さらば財務省! 官僚すべてを敵にした男の告白』(講談社)などがある。