勇気を出して飛び移って本当によかったと実感

入社時のポジションは一般社員。管理職経験が豊富な小池さんには不相応にも思えるが、本人は「もう1度まっさらな状態から挑戦できてむしろうれしかった」と笑う。挑戦を評価し後押しする企業文化もあり、翌年には部長に昇格。その後、社内のリーダー養成プログラムに選抜され、修了後には本部長に就任した。

仕事の予定はPCで管理しているが「手書きしたほうが頭に入るから」とスケジュール帳も愛用。予定やアイデアメモなどがびっしり書かれている。
仕事の予定はPCで管理しているが「手書きしたほうが頭に入るから」とスケジュール帳も愛用。予定やアイデアメモなどがびっしり書かれている。

「選抜されて以降ステップアップを目指す気持ちが強くなり、結果的にそれも実現しました。このプログラムでの学びはとても重要な経験だったと思います」

今後は自分のことよりも後輩や若者、子どもたちの支援に力を入れていくつもりだ。こうした現在地にたどり着けたのも、最初の転職で勇気をもって踏み出せたからこそ。

ベンチャー時代に上司から言われた「晴子はbrave(勇敢)だね」という言葉が、今も心に残っている。自分では無鉄砲だと思っていた部分をポジティブに捉えてもらったのは、それが初めてだった。

「仕事との出合いは海の向こうから船がやってくるようなもの。いいタイミングで求めていた船が来たら、きっと飛び移れというメッセージなんだと思います。今、勇気を出して飛び移って本当によかったと実感しています」

小池晴子(こいけ・せいこ)
アドビ マーケティング本部 本部長(Adobe Express & エデュケーション)
1972年生まれ。上智大学外国語学部卒業後、福武書店(現・ベネッセコーポレーション)に入社。22年間勤務し、通信教育事業などに携わる。ニューヨーク発のベンチャー企業への転職を経て、2017年、アドビ入社。

撮影=市来朋久

辻村 洋子(つじむら・ようこ)
フリーランスライター

岡山大学法学部卒業。証券システム会社のプログラマーを経てライターにジョブチェンジ。複数の制作会社に計20年勤めたのちフリーランスに。各界のビジネスマンやビジネスウーマン、専門家のインタビュー記事を多数担当。趣味は音楽制作、レコード収集。