仕事は順風満帆だった。だが、40歳になると「この先、もう想定外のことは何も起こらないかも」と思い始める。デジタル領域の仕事や、インターナショナルな環境への憧れもあった。社内ではそうした環境に巡り合えなかったことから、小池さんは転職を考えるようになる。

「今の年齢ならあと20年ぐらいは働ける。それなら、転職してまっさらの状態から新しいことを始めても、何かをやり遂げられるだけの時間はあるなと思いました」

これが転職の武器になりました!

とはいえ、転職先を決めるまでには時間がかかった。国際性のある企業と出合うためにビジネス特化型SNS「リンクトイン」に登録したものの、最初はただ眺めるだけ。そのうち外資系企業から声がかかり始めたが、ピンとくる話はなく、なかなか踏ん切りがつかなかった。

そのまま3年が過ぎたある日、デジタル技術を使った教育支援事業を展開する外資系ベンチャー企業から、日本オフィスのコンテンツ導入兼マーケティング担当者にと声がかかる。教育業界での経験値を評価してくれたうえでの誘いに、ここなら望んでいた仕事で活躍できると感じた小池さん。43歳で、長年勤めた大企業から違う世界へ飛び込んだ。

「ベンチャーへの転職にはリスクもあるとわかっていたので、決断には勇気がいりました。でも、憧れていた要素がそろう環境に3年越しで巡り合えたわけですから、リスクを取ろうと決めました」

求めるものがすべてそろう、新たな環境に出合って

夢見ていた環境での再スタート。充実した毎日だったが、不慣れなビジネス英語に不安になった時期もあったという。それでも「わからない単語はメモして調べて使う」を繰り返すうちに語彙ごいが増え、新しい環境を心底楽しめるようになった。

ところが、1年半ほど経つと仕事のスケール感に物足りなさを感じ始める。ベネッセ時代に数百万人を対象にした事業をリードしていただけに、もう少し多くの人に届く仕事をしたくなったのだ。

「他の部分ではすべて満足していたので、転職は迷いました。そんなときにアドビに出合ったんです。デジタル領域、インターナショナルな環境、スケール感と私が求めるものが全部そろっていて、求人を見た瞬間『これだ!』と思いました」

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