本当に欲しいものを突き詰めると、自然と無駄がなくなる

したがって、彼の家計哲学は「欲しいものは何でも買えばいい、でも必要なものはできるだけ我慢すること」なのだそうです。

大江英樹『90歳までに使い切る お金の賢い減らし方』(光文社新書)

ちょっと考えると、普通の人とは逆のような気がしますね。でも森さんは、本当に欲しいものとか、あるいは自分がしたいことは何かということを徹底的に考え、突き詰めていくと、自然に無駄はなくなると言います。だからこそ、趣味に使うお金を最初にのけておく“天引き消費”をやっているのでしょう。

前にもお話ししましたが、多くの人は、『DIE WITH ZERO』のように死ぬまでにお金を使い切ってしまうということは、なかなかできないでしょう。また森さんのように「遊ぶお金を最初に取っておく」というのも、実行するのは難しいと思います。

でも、ひたすらお金を貯めて増やすことばかりに一生を費やすのではなく、お金を減らすことで手に入れることができるものの大切さを、もう少しだけ考えてみる必要があるのではないでしょうか。

大江 英樹(おおえ・ひでき)
経済コラムニスト

1952年大阪府生まれ。オフィス・リベルタス創業者。大手証券会社で個人資産運用業務や企業年金制度のコンサルティングなどに従事。定年まで勤務し、2012年に独立後は、「サラリーマンが退職後、幸せな生活を送れるように支援する」という理念のもと、資産運用やライフプランニング、行動経済学に関する講演・研修・執筆活動を行った。日本証券アナリスト協会検定会員、行動経済学会会員。著書に『投資賢者の心理学』(日経ビジネス人文庫)、『定年男子 定年女子』(共著・日経BP)、『知らないと損する 経済とおかねの超基本1年生』(東洋経済新報社)、『お金の賢い減らし方』(光文社新書)など多数。2024年1月没。