【みひろ】すごいよねー! うちのお母さんも夢中で見てるよ。でも彦さん、なんで韓国の作品はそんなに海外で評価が高いの。日本の音楽や映像作品はあまり日本の外では評価されないのに。

【彦】うーーーん、なんでだろうな。

韓国の人口問題と世界戦略

【うめ】彦、それはおそらく韓国の人口と大きく関係しているかもしれないわよ。

【彦】どういうこと?

【うめ】日本の人口は約1億2000万人、韓国は約5100万人。日本の半分以下なの。日本ならば日本語でドラマをつくっても、1億人以上が見てくれる市場があるけれども、韓国では韓国語でドラマをつくっても最大で約5000万人の市場ということね。これだと見てくれる人の数に限界があるから、韓国は国外、つまり世界を目指したのよ。

【彦】たしかに。韓国は国家公認の俳優養成所をつくったり、国をあげて映画やドラマの輸出を後押ししているね。でも、日本も「クールジャパン」(※2)とかいいながらがんばってるよね。

【うめ】そうねぇ。でもやはり、日本は韓国ほど切羽つまっていなかったのかもしれないわね。日本では国内でモノを売っているだけで、これまではじゅうぶんに食べていけたから。これはエンタメだけではなく、日本のあらゆる産業で共通していることよ。わかりやすいのが家電ね。

【みひろ】テレビやパソコンだね。

【うめ】そう。日本は戦後、人口がどんどん増えたの。だから、たとえばテレビをつくれば売れたし、その性能を高めればまた売れたの。アメリカやヨーロッパに輸出しても、日本製品は大人気だったわ。「メイド・イン・ジャパン」は高品質のブランドだったのよ。だから、ひたすら機能を増やして、性能を高めるのが正しいとみんなが信じていたのね。でも、2000年代初めから、少しずつ日本のメーカーの力が失われて、いまではもう完全に世界のなかでの立場が弱くなっているわ。代わって台頭したのが韓国のサムスン電子やLGエレクトロニクスね。

【みひろ】知ってるよ。いま世界でいちばんテレビを売っているんでしょ。スマートフォンもつくっているよね(※3)

【うめ】サムスンやLGは韓国内の5000万人のお客さんだけでは儲からないとわかっていたから、海外に目を向けたのね。でも、アメリカやヨーロッパで売れるような品質のモノを昔はつくれなかったわ。だから、東南アジアなどの新興国で、少し古い技術を使った家電を売ったの。そして、そこで儲けたお金を新しい技術の研究に使ったの。少し前までは韓国の製品といわれれば安かろう、悪かろうというイメージだったし、韓国製品は日本のパクリともいわれたけど、いまは違うわ。韓国は安くていいモノをつくるようになっているの。いまは日本でも韓国製の家電が昔よりは人気よね。

※2 マンガやアニメ、ゲームなどを海外に輸出し、産業として発展させる政策です。2000年代初めに政府が方針を決めました。
※3 世界のテレビ市場でサムスン電子は2006年から16年連続世界首位です。2022年も首位の可能性が高くなっています。スマホでも日本国内ではiPhoneを販売するAppleが10年連続で出荷台数1位ですが、世界ではサムスンが優勢です。2022年5月に世界でもっとも売れたスマホはサムスン電子(全体の28.02%)でApple(27.61%)を上回っています(アウンコンサルティング調べ)。