※本稿は、栗下直也、ニューズウィーク日本版編集部『くらしから世界がわかる 13歳からのニューズウィーク』(CCCメディアハウス)の一部を再編集したものです。
韓国の音楽や映画が世界を席巻
【みひろ】時間よ止まれ!
【うめ】どうしたのよ、みひろちゃん。明日、苦手な理科のテストでもあるの?
【みひろ】違うよ、うめさん。このままだとBTSが活動休止になっちゃうからさ……。時間が止まれば活動休止を先延ばしにできるかなって。
【うめ】ああ、韓国のアイドルグループね。日本でも大人気なんでしょう? みひろちゃんも好きなのねえ。すごい人気だこと。でも、活動休止しちゃうの?
【彦】ばあちゃんは、芸能ネタはからっきしだからね。韓国では兵役の問題もあって、メンバー7人での活動はいったんやめたんだよ。そもそもBTSはアジアだけでなく、いまや世界的なグループだよ。アメリカでグラミー賞の候補になったし、ビルボードチャートで首位を獲得したしね。ビルボードの首位になったアジア人は、ばあちゃんも好きな坂本九さん以来だよ。
【うめ】えっ、九ちゃん以来?! 韓国の芸能人といえばドラマ『冬のソナタ』のヨン様(ペ・ヨンジュン)なら、私も好きよ。
韓流はもはや「一時のブーム」ではない
【彦】日本ではかつても韓国ドラマブームがあったからね。でもばあちゃん、もう韓流は一時のブームでないんだよ。完全に定着しているんだよ。BTSのヒット前から日本では東方神起や少女時代などのK-POPが大流行してたしね。エンターテイメントだけでなく、韓国の食品や化粧品なども日本人にとっては身近になってるんだ(※1)。
【うめ】あんたは勉強はできないけど、こういうのはやたらくわしいわねぇ。
【みひろ】だよね。
【彦】なんだよ、ふたりとも。最近、韓国のエンタメは、音楽だけでなく、映画やドラマも世界的な人気がすごいんだよ。映画『パラサイト 半地下の家族』はアカデミー賞で作品賞を含む4冠を達成したしね。これは外国映画(アメリカ以外の映画)としては史上初の快挙なんだ。ドラマ『愛の不時着』や『梨泰院クラス』はNetflixで配信されて、世界的なヒット作品になっているよ。
※1 2017年ごろには東京・新大久保のコリアンタウンで鶏肉料理「チーズタッカルビ」が話題になりました。また同時期から韓国語で美少女を意味する「オルチャン」を語源とするメイク方法「オルチャンメイク」が流行し、いまもブームは続いています。