日本経済復興はお金の循環から

構造協議で約束した総量規制という、銀行が企業に貸すお金に制限を設ける制度でバブルは崩壊し、大不況下で非正規雇用が増えました。

同時に2000年代からの給与の低さによる頭脳流出で中国や韓国へ人材が流れ、産業によっては中韓が日本を追い越すことにもなりました。給与が上がらず、若い人は結婚できず、人口も減少しました。

給与が低いままなので、大企業は最高益を更新し、内部留保としてその利益を企業内にためています。景気は低迷し、国内消費が縮小し、経済成長率、GDPが低下しました。格差が拡大し、貧困率も高くなっています。要はもうかった企業のお金が循環していないのが問題です。労働者と企業の関係が高度経済成長期の「労使協調」のままで労働者が声を上げることができなかったことも給与が上がらない大きな要因です。

日本経済を活性化するにはとにかくお金の循環が必要です。給与を上げ日本の消費を活性化し、教育に投資することにつきます。

さて、世界経済に目を転じれば、格差と地球温暖化という問題があります。これを解消するためのひとつの光明は通貨です。アメリカの基軸通貨は金との兌換なしでも世界中で信用を得ています。暗号資産も兌換なしで流通しています。通貨は信用があれば成立することが実証されたと言えるでしょう。

私は、今後、世界をよくするため、各国が協力して新たな世界銀行をつくり、信用だけに基づいた世界通貨を発行して、格差と温暖化問題解決に投じるという理想形がありうると考えています。ドルの強さがその可能性を示していると思うのです。

明治以降の日本金融史のキーパーソン
NYダウ約100年の推移

構成=奥田由意 イラスト=川口澄子

大村 大次郎(おおむら・おおじろう)
元国税調査官

国税局に10年間、主に法人税担当調査官として勤務。退職後、ビジネス関連を中心としたフリーライターとなる。単行本執筆、雑誌寄稿、ラジオ出演、『マルサ‼』(フジテレビ系)や『ナサケの女』(テレビ朝日系)などの監修で活躍している。ベストセラーとなった『あらゆる領収書は経費で落とせる』(中公新書ラクレ)をはじめ、税金・会計関連の著書多数。一方、学生のころよりお金や経済の歴史研究を続けており、『脱税の世界史』『脱税の日本史』(ともに宝島社)など、「歴史を経済で読み解く」ジャンルの本も多く執筆し、好評を得ている。YouTubeで「大村大次郎チャンネル」配信中。