上海のマンション一戸で東京のビル一棟が買える
2021年末、少し前から経営難がささやかれていた中国の不動産大手「恒大集団」が、ついに社債の利払いで部分的にデフォルトしました。
恒大集団は中国第2位の超大手不動産開発会社。1994年より住宅の個人所有が認められたのを機に1996年に設立されました。都市部における住宅需要激増の波に乗り、マンション建設を軸に、観光、保険、サッカーのクラブチーム運営などを多角的に経営し、飛躍的に成長を遂げてきた企業です。
あまり知られていませんが、実は近年の中国は、住宅関連の固定資産投資を増やすことでGDPを伸ばしていくという、完全に「不動産バブルを推進力とする経済成長戦略」をとってきました。その結果、中国では空前の住宅ブームが起こり、建設されたマンションは全人口の2倍分、実際に約4割の人が2戸以上の住宅を持つに至っています。
それとともに、価格もすさまじく高騰しました。今や大都市圏では、住宅価格が年収のなんと約30倍にまで達し(日本のバブル期でも10倍ぐらい)、現在は上海でマンション1戸買う金があれば、東京でビル一棟が買えるとまでいわれるまでになっています。そして恒大集団は、自社株と不動産を担保に借入金をどんどん増やし、それを原資に地方政府から土地の使用権を買いあさり(これが中国における「土地売買」です)、マンションを供給し続けることで、中国バブルをあおりにあおってきたのです。