創業わずか4年で急成長したペイペイが提唱するのは、好きな場所で、好きな時間に、自由に働き、パフォーマンスを発揮する新しい働き方。社員が仕事とプライベートを両立するだけでなく、人生をより楽しむ姿が見えてきた。

“以前の働き方には戻らない。問題があれば改善していく”

スマホ決済サービス「PayPay(ペイペイ)」。今や私たちの身近な存在となっているサービスだが、創業してまだ4年、サービススタートから3年半しか経っていない若い企業だ。ヤフー社とソフトバンク社の2社からなる共同出資会社が、インドの電子決済サービス企業Paytm(ペイティーエム)と連携して2018年に創業。たった3年で誰もが知るサービスを築き上げた快進撃は周知のとおり。そんなペイペイも20年9月から完全在宅勤務制に転換。今どきの若い企業が行う完全在宅勤務の在り方とは……。常務執行役員 CAO兼CHRO コーポレート統括本部長の走出そで雅紀さんに、完全在宅勤務となった経緯を伺った。

PayPay常務執行役員 CAO 兼 CHROコーポレート統括本部長 走出雅紀さん
「人材不足という課題にも対応」PayPay常務執行役員 CAO 兼 CHROコーポレート統括本部長 走出雅紀さん(撮影=田子芙蓉)

「ジャパンネット銀行(現・ペイペイ銀行)在籍時に『電子決済サービスを始めるからやってくれないか』と打診されたのが18年のゴールデンウイーク。翌月には会社を立ち上げ、10月にはサービスがスタートしました。企業風土の異なる2社からなる共同出資会社。ソフトバンク社はせいせいと営業活動を行っていくトップダウン型であるのに対し、ヤフー社は一人一人がこだわって開発していくボトムアップ型。

技術提供しているペイティーエム社はわれわれとまったく違う感性でシステム開発に取り組むインドの企業。創業時はいつも車座になって、『キャッシュレスにはこんな未来がある』などとヘタな英語とヘタな日本語でかんかんがくがくやっていました。だから、フェイス・トゥ・フェイスで事業を進めることが自分たちの強みであり、それが事業スピードの速さにつながっていると思っていました」

事業拡大に伴い、経験やバックグラウンド、国籍を問わず人材を随時募集。毎日入社してくる社員に合わせ、完全在宅勤務にシフトするまでの2年間で2回の引っ越しを経験。創業時からシェアオフィスに本社機能をおき、出社型の働き方に合わせたフリーアドレス制のオフィスは、引っ越しのたびにフロア面積が拡張されていった。