“本当の姿”を写真に残す

自分が本当にやりたいことは何だろう。李さんはようやくその答えの片鱗も見つけているようだ。fotowaでやりたかったことは、さまざまな人に「自分らしい写真」を楽しんでもらうこと。サービスを開始した頃に聞いた、ある母親の言葉が心に残っている。

「被写体のママさんが、『私、子どもを見つめているとき、ちゃんと母親の顔をしているんですね』と。それまでは自分がちゃんと母親としてやれているかどうか不安だったそうですが、第三者が撮った写真を見てはじめて気づいたそうです。そういう本当の姿を写していくのが、fotowaの役割なのかなと思います」

人それぞれに家族の在り方があり、人生の物語がある。李さんは写真を通して、大切な日の一瞬に寄り添いたいと思っている。

歌代 幸子(うたしろ・ゆきこ)
ノンフィクションライター

1964年新潟県生まれ。学習院大学卒業後、出版社の編集者を経て、ノンフィクションライターに。スポーツ、人物ルポルタ―ジュ、事件取材など幅広く執筆活動を行っている。著書に、『音羽「お受験」殺人』、『精子提供―父親を知らない子どもたち』、『一冊の本をあなたに―3・11絵本プロジェクトいわての物語』、『慶應幼稚舎の流儀』、『100歳の秘訣』、『鏡の中のいわさきちひろ』など。