結果に対する情熱を持った上司は敬遠される

もう1つ、低下している理想の上司は「仕事の結果に対する情熱を持っている上司・先輩」だ。2012年の34.1%から20年に7.5%に急落し、今年も9.5%だ。この傾向は2016年入社以降のZ世代に共通した特徴かもしれない。こうした“成果を追求する熱い上司”ほど上の覚えもめでたく、出世する人に共通するタイプだが、逆にZ世代には疎んじられているようだ。

ビジネスマンと成長のイメージ
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大変なのは「叱らないで育てる上司」だ。中堅物流会社の人事部長はある意味で“繊細な心”を持つ新人の育成に頭を悩ませている1人だ。

「実はコロナ禍やリモートワークが増え、飲み会などがなくなり、ただでさえコミュニケーションの機会が減っている。部下が何をやっているのかわからないのはマネジャーだけではなく、身近な先輩でも新人がどんな悩みを抱えているのかわからないと言う人もいるぐらいだ。OJT(職場内訓練)すら満足にできていない中で、新人の指導に時間を割けない上司もいる。相談相手が少ないなかで、新人が仕事のカベにぶつかっても、乗り越えられるカベだったらいいが、そうでなければたぶん離職につながる」と危惧する。

口を挟まず、ただ観察する

では新人の指導では上司はどう対応すべきなのか。人事部長は「現在改めてマネジャー研修を実施している。特別な研修ではなく、部下をどういうポイントで見るのか、設定した目標の達成度の評価とフィードバックをどうするかという基礎的の研修だ。今まで適当にやっていたマネジャーも少なくない。当たり前のことを当たり前にできるようになることが大事だ。少しでも部下を見る視点やポイントがずれると、今の新人は反発しかねない」と言う。

その上で「マネジャー自ら新人を見にいき、そして本人の話を聞く。部下と仲良く話のやりとりをするのではなく、一方的に部下を観察するコミュニケーションが大事だと言っている。というのは上司が何か口を挟もうとすると、口を閉ざすという新人が増えてきている。相談されたら答える必要があるが、それでも新人は本音を言わないと思う。殻に閉じこもっている感じがあり、上司のマネジメントは本当に難しいと感じている」と胸の内をさらけ出す。