現在60歳の循環器内科医、池谷敏郎さんはかつて、「メタボ体形」で「糖尿病予備軍」だったが、試行錯誤を経て体重を落とし、「血管年齢30歳」をキープしている。池谷さんは「血糖値を下げる習慣は、やせる習慣。ポイントとなるのは適度な糖質制限だが、お米、お菓子などの糖質の取り方についてはさまざまな誤解がある」という――。(第1回/全3回)

※本稿は、池谷敏郎『血糖値はたった1分の習慣で下がる!』(秀和システム)の一部を再編集したものです。

炊きあがった白米
写真=iStock.com/flyingv43
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「お米だったら大丈夫」は本当なのか

Q 日本人はずっと米を食べてきたんだから大丈夫なのでは?
A 適量であれば大丈夫です。でも……

「米は糖質だけど、それが長寿大国・日本を作ってきたんだから体にいいはずでは?」

と思っている人は多いでしょう。たしかに、おにぎりやお寿司、丼ものといった、日本人のソウルフードには米が欠かせません。

また、ちょっと小腹が空いただけで、

「糖質をとらないと力が出ない」
「糖質をとらないと頭が働かない」

と、甘いお菓子、おにぎりやパンといった食べやすい炭水化物に手が伸びる人もいるでしょう。

厳しいようですが、それは糖質中毒です。精神的な依存ができあがっているのかもしれません。

さらに、ご飯(米)信仰の背景には、昔からまことしやかに言われてきた「バランスの良い食事とは、炭水化物6割、タンパク質2割、脂質2割」という教えもあるでしょう。

子どもの頃からそう教わって育った人は、

「エネルギーの6割は炭水化物からとるものでしょ?」
「だから、ご飯が主食なんでしょ?」

怪訝けげんに思うかもしれません。

でも、じつはこの「6割、2割、2割」という数字に、医学的、科学的根拠は薄いのです。

さまざまな研究の結果、この組み合わせがベストだからこのバランスになった、というわけではないのですね。

問題は比率ではなく量

だから、炭水化物が5割でも4割でもいいと私は考えています。

内臓脂肪を過度に蓄えている人は、たいてい炭水化物が6割を超えています。おかずばかり大量に食べる人はあまりいません。意識しないとつい増えてしまうのは、手軽に食べられる炭水化物なのです。

代謝のよい若い頃ならまだしも、年齢とともに代謝が下がると、とりすぎた糖はそのまま脂肪細胞へ……。

こうして、肥満がつくられていくわけです。

また、比率以上に問題なのが、全体の量です。

私は「6割、2割、2割」というバランスでもよいと思うのですが、そもそも全体の量が多すぎる人が多いのです。

どんなに割合に気をつけても、トータルの量が多ければ、当然内臓脂肪は増え、血糖値は上がります。

ご飯も、そのほかの糖質も、問題は量なのです。