真のダイバーシティ実現に向けて
【木下】社員の方の幸せ度調査も行っているとお聞きしました。これがダイバーシティ推進の究極の姿ではないかと感じますが、いかがでしょうか。
【山田】当グループのグローバルビジョンは「『わが家』を世界一 幸せな場所にする」です。その意味では、従業員にとっての「わが家」は職場や会社であると考え、世界一幸せな会社であるべく努力しています。昨年度からは、幸福経営学の第一人者である慶應義塾大学の前野隆司教授の監修の下、グループ約2万7000名に対して「幸せ度調査」を始めました。この調査は、「社員に幸せになってほしい」という会社からのメッセージでもあります。働く幸せとは、働きがいや自己成長、誰かの役に立っているという実感から生まれるもの。一人ひとりの多様な力を生かして個人の幸せと組織の持続的な成長を実現する、これこそがダイバーシティ推進の実践と言えるのではないかと思います。
【木下】すばらしい取り組みだと感じました。今後、ダイバーシティについてはどんな目標値を設定されていますか?
【山田】2025年度までに、グループ全体で女性管理職を310名以上登用する方針です。また、男性育休もグループで100%を目標としています。現在は経営層のダイバーシティも進んでおり、取締役のうち3割が女性、社外取締役が4割となっています。今後も女性従業員比率や管理職比率をさらに増やし、部長職や役員候補などへのパイプライン構築に力を入れていきます。将来的には、性別に関係なく誰もが多様な力を発揮できる企業文化をつくり、社員の幸せを基盤としたダイバーシティ経営を実践していきたいと考えています。
【木下】最後に、ダイバーシティ推進に悩める人事関係者の方々に励ましのメッセージをお願いいたします。
【山田】ダイバーシティ推進はすぐには成果が出にくく、継続的な取り組みが必要です。そこで大事になるのが、トップのコミットメントや発信力です。経営トップを巻き込む仕組みづくりと担当者の熱い思いがあれば、必ず理解を得られますので、根気強く取り組み続けていただきたいですね。また、他社との情報交換や連携、社外への発信などを通して、社会全体におけるジェンダー平等の機運を高めていくことも、自社のダイバーシティ推進の後押しになると思います。ともに頑張ってまいりましょう。
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『PRESIDENT WOMANダイバーシティ担当者の会』事務局(担当:名越)
woman-diversity@president.co.jp
構成=辻村洋子
1990年入社。一般事務職から総合職に職群転換し、分譲マンション営業、人事部にて人材開発、法務部にて人権啓発を担当。2020年よりダイバーシティ推進部長、およびESG推進委員会 社会性向上部会長を務める。2021年より現職。関西経済連合会ダイバーシティ&インクルージョン専門委員会副委員長。