より両立しやすい環境をめざして保活支援も

【木下】2つめのテーマ「マネジメントサイドへの教育」についてはいかがでしょうか。

【江藤】先ほどお話しした、「Career Cafe 28 BOSS」では、外部講師から、経営戦略における女性活躍推進の意義や、女性メンバーの成長を加速させるためのマネジメントなどを学ぶ研修を行っています。研修への参加はすべて任意ですが、それでも毎回100人以上が参加してくれています。当社のマネジメント層は人材育成に対して非常に関心が高く、これも、経営理念「個の尊重」にひも付く社風のひとつだと思っています。

【木下】3つめのテーマである「働き方・両立支援」では、保活(子どもを保育所に入れるための活動)から支援されているそうですね。

【江藤】両立支援を開始した2008年のワーキングマザー比率は10.9%にすぎませんでしたが、さまざまな施策を打った結果、2021年には国内グループで合計30%に達しています。2018年には、人事に「復職したいが子どもを預けられないので実現できない」という声が寄せられたのを機に、保活相談窓口「保活のミカタ」を設置しました。自治体の保育園入園情報をまとめた保活データベースや保活セミナー、専任の相談員による個別相談などを通して支援を行っており、入園決定率はほぼ100%となっています。

【木下】男性への両立支援も行っていらっしゃいますか?

【江藤】当社の両立支援はすべて性別を問わないものです。今では、仕事と育児の両立は男性にとっても普通のことになっていますね。2021年現在、当社の男性の育児休暇取得率は25.5%(育児休業取得率は11.9%)ですが、今後はさらに強化していく方針です。また、こうした取り組みで蓄積したノウハウや知見は、会員企業様向けに「保活総研」という形で提供させていただいています。

【木下】ノウハウを社外にも共有されているのですね。今後もDEIへの取り組みを強化していく予定だそうですが、目標値などはありますか?

【江藤】2021年に、リクルートホールディングスは、グループ全体の目標として「2030年度までに、取締役会構成員・上級管理職・管理職・従業員それぞれの女性比率を約50%にする」という目標を掲げました。特に日本国内においては、かなりチャレンジングな目標ではありますが、当社は就業や採用を支援する事業も展開しているので、日本の女性躍進をリードしていきたいという強い思いがあります。

江藤 彩乃さんと木下 明子編集長
撮影=小林久井(近藤スタジオ)