「女性の意識醸成」のための研修とは

【木下】3つのテーマに基づいて、それぞれどんな施策を打っていらっしゃいますか?

【江藤】女性の意識の醸成では、28歳前後の若手女性を対象としたキャリア研修「Career Cafe 28」、女性営業職向けのワークショップ「エイジョ Cafe」、女性課長職向けの「マネジメントスタイル構築研修」などを行っています。また、マネジメントサイドへの教育ではCareer Cafe 28参加者の上長を主な対象にした研修「Career Cafe 28 BOSS」などを、働き方・両立支援では男性も対象とした出産育児休暇や保活支援などを実施しています。

【木下】28歳前後の女性に研修を行っているのはなぜでしょうか。

【江藤】その年齢は、今後ライフイベントを迎える可能性が高まっていたり、将来のキャリアに対して不安を抱える時期でもあります。そのモヤモヤを事前に解消することが、復職後や30代以降の活躍につながるのではと考えました。研修では、おもに自分の強みの棚卸しや、前倒しのキャリア構築について学んでもらっています。これまでに累計1200名以上が参加しており、参加者の満足度は97%。「今目の前の仕事を一生懸命取り組み、自分に付加価値をつけていくことが大切だと分かった」など、ライフイベントなどを経ても自分らしく働いていける自信がついたといった声も多いですね。

【木下】「エイジョ Cafe」もユニークな取り組みですね。リクルートと言えば営業に強いというイメージですが、女性営業職の場合、せっかく築いたお客様との関わりが育休で途絶えてしまうという企業もあるようです。

【江藤】確かに、営業は当社で最も配属人数が多い部署です。でも、女性課長比率が他の職種に比べて低く、若手女性が長期的なキャリア形成に不安を感じているという課題がありました。そこで「エイジョ Cafe」では、少人数での座談会形式で、管理職として活躍する女性ロールモデルと、両立や今後のキャリアなどについて気軽に話し合えるようにしました。

【木下】「マネジメントスタイル構築研修」についても教えてください。

【江藤】当社では女性の管理職任用を進めたことで、女性課長比率は30%に近づきました(2021年4月時点)。一方で、女性課長自身が「自分の成果に自信が持てない」「生産性向上が難しい」と悩んでいることもわかってきています。そこで研修では、才能診断ツールの結果を使って、各自に自分の強みを生かしたマネジメントスタイルを言語化してもらっています。狙いは「管理職にも多様なスタイルがあっていいんだよ」と伝えること。研修後「自己理解できた」という人は97%にのぼっています。

プレジデント ウーマン編集長 木下 明子
撮影=小林久井(近藤スタジオ)