スポーツチームの名前変更

アメリカの多くのスポーツチームの名称やマスコットに差別的なものが使われていて偏見と誤解を助長しているということで、名称変更のプレッシャーが長年あったのですが、その先陣を切ってCleveland IndiansがCleveland Guardiansと2022年のシーズンから名前を変更することを発表しました。またそのマスコットの「酋長しゅうちょう」Chief Wahooは2018年限りで使用を中止しています。

また、アメリカン・フットボールのチームのワシントン・レッドスキンズ(Washington Redskins)も、その名称について先住民の団体などから何度も抗議を受けてきたのですが、こちらも近く変更すると見られます。redskinは、ほとんどの辞書に「(侮蔑語)北米先住民」などと載っています。

その他にも、アメフトのチームではカンザスシティ・チーフス(Kansas City Chiefs)やホッケーではシカゴ・ブラックホークス(Chicago Blackhawks)も先住民に対して差別的とされ、批判の的になっています。

ブランドネーム、マスコットも変更

2020年6月、BLM運動が燃え盛る中、パンケーキミックスやシロップのブランドとしてよく知られている「アント・ジェマイマ」(Aunt Jemima)や、米などの有名ブランドの「アンクル・ベンズ」(Uncle Ben’s)といった名称、およびパッケージに使われている人物像やロゴなどが、黒人のステレオタイプを表し偏見を助長していると批判を受け、それぞれのメーカーは変更すると発表しました。

そして1年後、Aunt JemimaはPearl Milling Companyに、Uncle Ben’sはBen’s Originalとリブランドされ、新しいロゴも発表されたのです。

この2つについては、実存した人物の名前だったようなのですが、パッケージの表面に描かれていた人物が、いかにも白人が顔を黒く塗って黒人を真似るミンストレルショー(minstrel show)に出てくる人物や、奴隷制当時の典型的な黒人のように描写されていると批判されました。

またUncle, Auntという名称も奴隷制度時代に、白人が黒人に対してMr.やMiss, Mrs.といった敬称を付けるのを嫌い、代わりに使っていたものだったからです。

これらに続いて、バニラアイスをチョコレートでコーティングしたアイスクリーム「エスキモー・パイ」(Eskimo Pie)の名称を変更するという発表がありました。この製品も約100年もの歴史があるのですが、「エスキモー」の原義は「生肉を食べる人」ということで、近年は侮蔑的で偏見を助長すると非難されています。これはイヌイット(Inuit)やユピック(Yupik)など、ベーリング海峡沿岸からグリーンランド東岸に至る極北地帯に住む先住民を指す言葉です。