断りの「ルール」を作ってしまう
もちろん、いつもこれで断っていると「あいつ、匂わせるだけで何もやらないな」となってしまうので、ここはひとつ、自分なりのルールをつくってほしいと思います。
たとえば、「1回受けたら1回は断る」。あるいは「2回受けたら、1回は断る」
全部断るわけでなく、自分の中で「これをこえたらキャパオーバーだな」というルールを設定し、そのルールの中で引き受けるということです。そのルールに沿ってやると、引き受けすぎてパンクすることもなくなるでしょう。
「断れなかった」ではなく「断らなかった」
ただ「何か嫌だけど、余裕があるからつい引き受けてしまった」「あとから悪口を言われるのがこわくて引き受けた」……など、ネガティブな気持ちのまま引き受けることもよくあること。
そんなときに、ぜひ意識してほしいのが「断れなかった」ではなく、「断らなかった」という感覚を持つことです。
そもそも私たちは「自分がコントロールできない」ことに対して、大きなストレスを感じます。同じやるにしても「自分がコントロールして、自分の意思でやった」と、「自分はコントロールできず押しつけられた」とでは、受け止め方に雲泥の差があるのです。
ですから引き受けるときも「押しつけられて断れなかった」ではなく「断らずにちゃんと引き受けた」ととらえる。自分はダメだから断れなかったとは、絶対に思わないでほしいですね。
ストレスのない人生をおくるためには、仕事を断る、断らないだけでなく、いつも「自分の人生は自分でコントロールしている」「相手に左右されず自分で選んでいる」という考え方を持つことが大切なのです。
構成=池田 純子
産業医・精神科医・健診医として活動中。産業医としては毎月30社以上を訪問し、精神科医としては外来でうつ病をはじめとする精神疾患の治療にあたっている。ブログやTwitterでも積極的に情報発信している。「プレジデントオンライン」で連載中。