年末の忙しい時期には、仕事を頼んだり頼まれたりということも増える。自分も手いっぱいなのに、頼まれるとつい引き受けてしまうということはないだろうか。精神科医の井上智介さんは「角を立てず、上手に断るにはコツがある」という――。
手のひらをクロスさせて「やめて」という仕草をする女性
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「断れない人」の3タイプ

どこの職場でも頼まれごとをうまく断れない人はいます。仕事の業務だけでなく、ランチや飲み会もうまく断れない。断るのが苦手な人は、次の3タイプです。

一つ目は、職場での立場が弱く、我慢して引き受けるしかないと思い込んで断れないタイプ。二つ目は断ると相手に悪いなと気兼ねして断れないタイプ。いわゆる「いい人」タイプですね。そして三つ目は、みんなから好かれたいという気持ちから断れないタイプの人です。

断るのが苦手なのは、もともとの性格や気質だから仕方ないとはいえ、すべてを引き受けると、身体的にはへとへとになるし、精神的にもストレスがたまり、パンクしてしまいます。断り方にはコツがあるので、知っておくとよいでしょう。

まずは「感謝」から入る

では角を立てず断るには、どのようにすればよいでしょうか。まず言い方をマスターしましょう。それには3つのステップを踏みます。

ステップ1:「感謝」
ステップ2:「断りの理由」+「謝罪」
ステップ3:「感謝」+「匂わせ」

具体的に説明しましょう。まずステップ1の「感謝」です。

何か頼まれたときに「また押しつけてきた」「それは無理です」とすぐに断ると、やはり角が立ちます。ですから、最初は「声をかけていただき、ありがとうございます」「誘ってもらって感謝してます」と相手の気持ちやリクエストを一度受け止めるところからスタートしましょう。