荒くれ漁師の反発をかわし、新事業で離島の漁業を守る
「数年前までは“海があれば生きていける、直販は不要”と本気にならなかった他所の漁師も、コロナ禍で豊洲市場が閉鎖し魚を市場に卸せなくなったことで船団丸が始めた直販の価値に気がついたようです」
コロナ禍で外食産業が停滞するなか、消費者直販への関心が高まり、坪内知佳さん率いる“萩大島船団丸”に全国の漁業関係者から問い合わせが相次いでいる。山口県萩市の離島大島(通称・萩大島)で始まった“船団丸事業”は、漁師が水揚げした魚を料理店や消費者に直販する6次産業化認定を受けた生産者ビジネス。坪内さんは、全国で同じビジネスモデルを水平展開しており、それぞれ地元の漁師たちが自主運営している。
「萩大島で始めた頃は、発注ミスもあり、また漁師の字が汚く伝票が読めないので、字の練習をしてもらったことも。不慣れでも営業から梱包、発送まで自分たちで把握していることに意味があります。現場の漁師と顧客が直接やりとりするのが直販の価値ですし、人任せにしないからこそ、魚の鮮度や安全性が保てる」