46歳男性が気にしている「血圧」
保険関連の有名企業に勤める男性Aさんは46歳の働き盛り。同期の仲間には、早くも肩叩きに遭う人が出ている中で、役員登用の噂も流れる有能な人物です。
とはいえ、大学生の子どもが2人いて、家のローンも残っています。これからも、いかに健康で長くいい仕事をするかがAさん個人の最大のテーマです。
Aさんが最近気にしているのが「血圧」です。若い頃と比較して少しお腹は出てきたものの、まだ肥満というほどではない、とAさんは思っています。ただ、毎年少しずつ血圧が高くなってきており、健康診断の度に指摘されるのです。
奥さんからも「一度、ちゃんと病院で診てもらってよ。脳の血管が切れたりしたら大変よ」と脅かされます。しかし、どうも気が進みません。同僚に、「血圧の薬は一度飲み始めたらやめられない」とか「薬によって血圧が下がりすぎてしまうこともあって、飲み方が難しい」などと聞かされているからです。
「血圧が高めの人」の隠された大問題
Aさんはときどき家で血圧測定をしています。だいたい上(収縮期)の血圧が145前後、下(拡張期)の血圧が90前後ということですから、医学的には立派な高血圧です。でも、とくに辛い症状もないため、薬を飲むのは抵抗があるようです。
実は、Aさんくらいの血圧の人は働き盛りの世代にはごまんといて、その多くが彼のように“煮え切らない態度”をとっています。自分の血圧について、内心ではとても気になっているけれど、「大丈夫さ」と鷹揚に振る舞っているのです。
さらに彼らは、「血圧は下げないほうがいい」などと主張する怪しい書籍や雑誌記事を見つけては、自分に都合のいい解釈をして安心しているケースが多くあります。
その気持ち、わからないでもありません。私自身は降圧剤を服用して血圧をコントロールしていますが、もし医者でなかったら、「薬は飲みたくない」と考えるかもしれません。
しかし、腎臓について知っていれば、とてもそんな危ない橋は渡れません。Aさんも、早い段階での投薬治療が必要です。
Aさんの奥さんが心配しているように「脳の血管が切れるから」ではありません。145くらいの血圧では、そうそう簡単に脳の血管が切れたりはしません。まだ40代のAさんにとって、脳の血管が切れやしないか心配だとか、でも薬はなるべく飲みたくないとか、そんなところに引っかかっている場合ではないのです。
血圧が高いと、それが「高値血圧」に分類されるようなレベルであっても、気づかぬうちに解毒の要である腎臓がじわじわ悪くなっていきます。そして、気づいたときには取り返しのつかないことになります。これが大問題なのです。