ボランティアと有償アルバイトの違いとは

そもそも、今回の東京大会でボランティアとアルバイト(大会の委託業者から有償で雇われた従事者)の仕事の区分けはどのように行われていたのだろうか?

ボランティアは大きく分けて、組織委員会が募集していた人員(当初の募集人数は8万人)のほかに、「シティキャスト」という競技開催自治体が集めていた人員から構成されている。大会運営の大部分はこのボランティアが支えているといっても過言ではなく、いずれも「無報酬」で仕事が割り振られる。

組織委募集のボランティアはその多くが、実際に競技が行われる会場内での補助的活動を行っていたように見受けられた。ともあれ観客を入れた競技がほとんどなかったため、本来の姿が見通せないのだが、学生と思しきボランティアは会場内での入場者への案内や補助業務を担っていた。

一方、シティキャストは国内外からの旅行者に対する観光・交通案内や競技会場までの観客の案内等を行うものだ。東京都をはじめ、競技会場のある自治体がそれぞれ募集し、運営に当たった。

新国立競技場
写真=iStock.com/Ryosei Watanabe
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ただ今回は、実際に観客を入れて実施されたのは宮城県でのサッカーと福島県でのソフトボール、静岡県での自転車競技にとどまった(茨城県は学校連携プログラムで児童が観戦したのみ)。有料入場者として入れた観客はチケットの総販売枚数の3.5%程度で、その分観客担当ボランティアも9割程度は不要になった可能性が高い。

最大時給2500円が最終的に1000円ダウン

ここまでは、メディアやSNSを通じて賞賛が送られたボランティアの姿だ。ではその陰で、大会の委託業者が引き受けた業務に携わる有償アルバイトの仕事内容と報酬はどのようなものだったのか。

筆者が調べたところでは、募集がピークに達した6月時点で、例えば遠隔地会場でのサポート業務やパブリックビューイング会場での対応、あるいは海外メディア人員へのサポートなどの業務について、時給2000円を超えるような仕事があった。このほか、通行止めとなった道路を通る人やドライバーに迂回うかい路を案内する仕事や、会場周辺のごみ拾いなど選手とは直接関わらない、競技会場の外での業務が主だった。中には深夜・早朝帯の業務で時給2500円を超えるものもあった。

ただしこれらの求人は、無観客開催が決まった7月を境に時給がどんどん下がり、1500~1600円程度まで落ち込んでいる。