約半数が入社5年目までに離職していた
【木下】キリングループは、人材や多様性についてどのような考え方を基本としているのでしょうか。
【濱】私たちは食領域、医領域、ヘルスサイエンス領域を中心に事業をグローバルに展開しています。各グループ会社がそれぞれの領域で多様なお客様ニーズに応える商品を提供しているため、人材の面においても多様性は必須条件です。当グループにとって人材は企業競争力の最大の源泉ですから、人事においては「人間性の尊重」を基本理念に掲げ、自律した個を目指す従業員とそれを尊重し支援する会社、両者は仕事を介し、イコールパートナーであると位置づけています。
【木下】そうした考え方の下、ダイバーシティ戦略にはどんなところから取り組まれたのでしょうか。
【濱】私たちの取り組みは2006年、「キリン版ポジティブアクション」の制定から始まりました。当時、当社の新卒入社は約4割が女性でしたが、そのおよそ半数が入社5年目までに辞めてしまうという状況でした。私たちの商品を買っていただくお客様には女性も多いのに、従業員が男性ばかりでは企業としての成長は見込めません。そこで、この状況に危機感を覚えた当時の社長が、全従業員に対して女性活躍推進に本格的に取り組むよう伝えたのです。
その後、グループ横断の女性メンバーからなる女性活躍推進組織「キリンウィメンズネットワーク」が発足しました。全国から600名もの女性社員を集めてキックオフミーティングを開催し、そこから地域単位での女性社員同士のネットワークづくりや、女性社員の声を反映した新制度や仕組みの実現に取り組み始めました。